言葉、文化の壁を乗り越え

矢野社長（左）に笑顔で運転免許証を見せるリエンさん

　働き手不足が叫ばれる中、外国人就労者の活躍に期待は高まる。矢野農園（伊達市西関内町、矢野徳幸代表取締役社長）の外国人技能就労者の女性が言葉や文化の壁を乗り越え今年、普通自動車免許を取得した。会社や仲間の応援を受けながらの目標達成に笑顔を見せ「これからも仕事を頑張りたい」と意気込んでいる。

　取得したのはベトナム人のドアン・ティ・キム・リエンさん（２５）。２０１７年に技能実習生として３年間、同農園で勤務。その後、一時帰国し２１年に戻ってきた。収穫作業などを行う中、より仕事の幅を広げてほしい－との矢野社長の思いがあった。

　免許取得にかかる費用は会社が全額賄った。昨年５月に市内の教習所に通い始め、順調に卒業。ただ、札幌で受ける運転免許の本試験は、長文問題などに苦労。農作業の繁忙期も重なり、試験に行くのが難しい時期もあったという。

　今年の春ごろに「このままでは受からない」（矢野社長）と、札幌の外国人をサポートする支援団体に相談。リエンさんは札幌に住み込みで勉強、対策を練り５月３１日に無事合格。７回目の挑戦だった。「うれしかったですね」と笑顔で振り返る。

　同農園では現在、リエンさんを含め３人のベトナム人が就労。リエンさんが自動車を運転できることで、仕事の効率は格段に上がったという。「リエンはほかの（ベトナム人の）人たちと言葉やコミュニケーションがしっかりとれている。今後要となりリーダー的な存在になる」と矢野社長は期待を込める。

　リエンさんは「とても感謝しています。これからも仕事を頑張りたい」とにっこり。矢野社長は今後もほかのベトナム人就労者への運転免許取得を勧める考え。「就労者の適性をみて、トラクターなどを運転できる免許も取ってもらいたい。このような動きがほかでも広がればいいですね」。そう言ってリエンさんの頑張りをねぎらった。