生食ホッケ、刺し身OK 白老町、道内初陸上養殖を開始【白老】
3年間、採算性検証
白老町は、陸上の閉鎖空間で水を循環させて魚を育てる「閉鎖循環型陸上養殖」を用いたホッケの養殖に着手した。実証実験を3年間で進め、採算性の検証を図る。6月25日には北海道栽培漁業振興公社伊達事業所で種苗から生産された親魚29匹を虎杖浜に設けた水槽に搬入した。
スケトウダラや秋サケなどの主要魚種の漁獲高減少などを受け、海洋環境に影響を受けない新たな漁業の確立を目指し養殖事業に取り組む。元同振興公社技術顧問で、町地域おこし協力隊の川下正己さんや北海道大学発の大学ベンチャー・AQSim(アクシム)などと連携して進める。
種苗生産の実例が少ない魚種を条件にホッケを選んだ。町によると、ホッケの陸上養殖は道内で初めて。
完全な陸上養殖で育てることで、アニサキスなどの寄生虫が魚に付かないことが最大のメリットで、刺し身など生食用でも提供できる。町農林水産課農水産グループの安藤啓一主査は「脂が乗って、ブリのようなおいしさがあり、ポテンシャルがある魚」と話す。
今後は虎杖浜沖で漁獲した天然のホッケ約100匹を追加で搬入。採卵、受精させ、ふ化した稚魚を育てていく。
安藤主査は「白老町の漁業はなかなか厳しい状況。将来に向け新たな漁業の一つ、あるいは漁業者の収入を補完できるような事業となるよう、この3カ年で見定めていきたい」としている。
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