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函館新聞

魚皮製アイヌ民具にサケやオショロコマ 弘前大教授らの調査で判明【函館】

オショロコマの皮が使われていることが判明した魚皮製長靴(市立函館博物館提供)

 市立函館博物館が所蔵する魚皮製の靴などアイヌ民族の民具から採取したうろこを分析した結果、魚種としてサケやオショロコマ、サクラマスであったことを弘前大学の関根達人教授(考古学)と北海道大学の帰山雅秀名誉教授(水産学)の調査で分かった。樺太(サハリン)で収集された刀掛帯にも魚皮が使われ、道内の同種品にはない特徴と判明。関根教授は「アイヌの魚皮製品は漠然とサケ・マス類が多いとされてきたが、サケ以外の魚種が特定できたことは大きい」としている。

 研究対象は、市北方民族資料館のアイヌ民具18点(長靴2点、短靴5点、刀掛帯5点、子供用太刀用刀掛帯5点、男性用帽子1点)で樺太や道内で収集したもの。うろこは資料からはく離したものや、国指定重要有形民俗文化財の資料以外からは損壊しない範囲で採取。サケ類研究の第一人者である帰山氏が分析した結果、うろこ15点の魚種はサケ10点、オショロコマ4点、サクラマス1点と同定した。

 資料のうち、2組ある「魚皮製長靴(チェプタンネケリ)」の1点は靴底と履き口がシカ皮で、河川型の4歳魚のオショロコマ(サケ科、イワナの仲間)の魚皮4枚(4匹分)で構成。背びれは除去して縫い合わせた痕があるが、甲の部分には脂びれが残っていた。別の長靴は履き口のシカ皮以外は全体がサケ皮で、靴底に背びれの除去痕があった。魚種に違いはあるが2組の長靴は魚皮の枚数や裁断、縫製方法が同じで「魚皮製長靴の製作法が確立していたことがうかがえた」とする。

 短靴は5点中4点がサケ皮と判明。片足に1匹分の皮が使われていた。靴底は長靴では除去してあった背びれが残され、雪や氷上で滑り止めの役割を果たしたと推定。「長靴は男性用、短靴は女性用」とするアイヌへの聞き取り事例がある一方で、今調査では機能性の面から男女別ではなく、用途で作り分けた可能性を指摘する。

 また、樺太で収集した10点の資料のうち、刀掛帯1点の裏地からはがれたうろこがサクラマスと分かり、別の帯では小型淡水魚と推定できるものがあった。本道側の刀掛帯の裏地は木綿やアツトゥシ(樹皮繊維)、和紙、獣皮などが一般的とし、関根教授は「樺太アイヌは、道内のアイヌと比べて交易で木綿や麻製品の入手機会が少なく、魚皮の利用頻度が高かった」とみている。

 論文は市立函館博物館研究紀要第34号で発表。同館ホームページから閲覧できる。

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