中札内村の自家焙煎(ばいせん)コーヒー店「トカプコーヒー」(村大通南6、木村務代表)は、コーヒーの生豆(きまめ)を1度前後の雪蔵(雪室)で貯蔵する「雪蔵甘熟コーヒー」の製造を始めた。特殊な保管環境の中で、コーヒーがどこまでおいしくなるかを実験するとともに、地域ブランドとしての商品化を目指す。
雪蔵は帯広市桜木町東2線のとかち井上農場(井上慎也代表)の雪蔵貯蔵庫を使用。同農場では天然の雪を使用した雪蔵貯蔵庫でメークインを越冬させ、「完熟メークイン」として出荷している。木村代表からSNSを通じて連絡を受けた井上代表が協力した。
貯蔵は3カ月の短期熟成と1年間の長期熟成に分け、コスタリカ産の豆とグアテマラ産の豆合わせて80キロを貯蔵する。年間を通じて1度前後の温度、約90~100%の湿度を維持して保存する。
木村代表によると、氷温処理を施すことによってコーヒー豆に含まれる甘みのもととなるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が増加し、香味や風味が豊かなコーヒーになることが確認されているという。井上代表は「普段はジャガイモしか貯蔵していないが、ほかの食材がどんなふうに変化するのか楽しみ」と話す。
国内では新潟市や山形県飯豊町などで雪室熟成コーヒーが製造されているが、生豆を3カ月以上熟成させるのはトカプコーヒーが初めてという。木村代表は「雪蔵での熟成を経て、甘さやコク、まろやかさが際立つコーヒーになってくれれば」と話している。
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