時代変われど今後も続けたい 名門通「うなぎのつかみどり」【帯広】
水着姿の女性が、水しぶきを上げながら滑るウナギを追い回す-。帯広の短い夏が盛りを迎える7月下旬、市内中心部の繁華街・名門通では「名門夏祭り」が開催され、人気企画の「うなぎのつかみどり」では酔客の歓声やヤジが会場に響き渡る。水着女性×ウナギというインパクトが特徴的で、「帯広の夏の風物詩」として親しまれている同イベント。初企画に至る経緯は「(居酒屋やスナックが多い)名門らしさのある目玉イベントを作りたい」との思いからだった。企画当時に帯広名門通り共栄会の副会長を務めていた佐藤道博さん(75)=同会第13代会長=は振り返る。
音更行事に着想
名門夏祭りは、帯広名門通商店街振興組合と帯広名門通り共栄会が共同で主催し、市内商店街の夏祭りの先陣を切る。1990年に始まり、メロンやカラーテレビなど大型商品が当たる抽選会や餅まきが人気を集めていた。「もともとにぎわいのある祭りだったが、さらに盛り上がるユニークなものをやりたい」と、役員会で検討。男性はふんどし、女性は水着姿で参加する十勝川白鳥まつり(音更)の名物行事だった「人間裸カーリング」から着想を得た。
全国的にも珍しいとされる「うなぎのつかみどり」。縦1.2メートル、横4メートルの巨大な水槽には40~50匹のウナギが放たれ、参加者は優勝賞金5万円を目指し、制限時間内に捕まえるウナギの数を競う。1回目の応募受付係を担当した佐藤さんは「出場するだけで1万円もらえるということもあって、50、60代の応募もあり、あの時は驚いた」と懐かしそうに笑った。初回は名門通りで働く女性や主婦、会社員など19人が参加。ウナギと格闘する姿を一目見ようと多くの来場者で人垣ができ、会場は熱気に包まれたという。
連続優勝の名人も
予想以上の盛況ぶりから翌年以降も恒例イベントとして定着していった。出場者の中には、連続で優勝した“名人”も。開催当初はウナギの動きが鈍くなる後半の出場者が有利になってしまったため、第3回以降は、毎回ウナギを数10匹ずつ入れ替えて実施。それでも“名人”の技術は高く、生きの良いウナギを次々と捕らえる姿は「見事だった」と思い返す。
今の時代に逆行する奇抜さすら感じられるが、初開催以来途切れずに親しまれている。イベント開始のアナウンスが流れると見物客が走って集まり、水槽の周りにはあっという間に人だかりができる。「こんなに長く続き、まちなかがにぎわう『下品な』イベントはほかにはない」と「評価」する声も多い。
「うなぎのつかみどりが始まってから知名度も上がり、来場者数も抜群に増えた」。祭りの規模拡大や安全性のため、2005年からは南10丁目を通行止めにして開催。警察への許可申請に尽力した佐藤さんは祭りに対する思い入れも強い。仕事終わりのサラリーマンなど酔客が多く集まるからこその盛り上がりを大事にしつつ、事故やトラブルのないよう配慮する。
今年は名門夏祭りがコロナ明け4年ぶりに開催され、久しぶりに迫力あるつかみ取りが見られる。なじみ客からは「ウナギは何時から?」「今年はあるのか」などと、楽しみにする声も寄せられているという。佐藤さんは「時代の変化もあるが、うなぎのつかみどりは、これからも続けていってほしい」と願っている。
関連記事
餌付けやめて 対策強化 緑ケ丘公園、管理者「条例を」【帯広】
帯広市内の緑ケ丘公園内に生息する野生動物に対する餌付けが、けがや感染症を引き起こす恐れがあることから、同公園を管理する「みどりと花のセンター」(緑ケ丘2)は来園者に餌付けのリスクを周知するなどの...
夫婦の門出に優しい光 北海道ホテルイルミ点灯式【帯広】
帯広市内の北海道ホテル(西7南19)で23日、この時期恒例のイルミネーションの点灯が始まった。優しい明かりが辺りを包み込み、幻想的な雰囲気を演出している。 約2万個のLED(発光ダイオード...
新機材使い車から救出 市消防団29人が訓練 大規模災害想定【帯広】
帯広市消防団(宮坂寿文団長)は24日、帯広消防署柏林台出張所に12分団の代表者29人を集め、大規模災害想定訓練を実施した。団員らは万が一に備え、署員の指導に耳を傾けながら訓練に精を出した。 ...
遺愛学院本館、生徒がご案内 初の一般公開【函館】
遺愛学院(函館市杉並町、福島基輝理事長)は23日、国指定重要文化財「遺愛学院本館(旧遺愛女学校本館)」の保存改修工事がおおむね終わったことから、初めて一般公開した。遺愛高生の有志11人がコンシ...
GLAYのマンホール 排水設備指定業者組合が市に寄贈 尾田栄一郎さんがイ..
函館市排水設備指定業者協同組合(加盟23社、木村謙一理事長)は22日、設立50周年を記念し、函館出身のロックバンド、GLAYのメンバーのイラストが描かれた「GLAY函館マンホール」8組を函館市...
CATEGORY記事カテゴリー
MEDIA参加新聞社
ARCHIVE月別記事リスト
RANKINGアクセスランキング
- 週間アクセス
- 月間アクセス
-
1
道東道阿寒─釧路西 12月22日開通 札幌─釧路市街地直結【釧路市】
2昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
3トラウトサーモン安定的生産に期待込め 浦河港内で養殖試験 浦河町栽培漁業研究会 事業化に向け可能性探る【浦河】
4函館市動物愛護管理センター開所 25日から運用 殺処分減へ【函館】
5これからも進化を 喜びに沸く下河辺牧場【日高】
-
1
高校で卒業式、1623人が門出の日【釧路管内】
2タイ国鉄車両工場長 シンハカーンさん キハ183系を見学 安平
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4釧路市動物園、ライオンのユウキ死ぬ【釧路】
5旧狩勝牧場再生へCF 返礼はソフト食べ放題やツアー 北広牧場【新得】