伴理事長（左）に要望書を手渡す北村会頭ら網商の役員

　【網走】網走商工会議所（北村讓二会頭）は、網走市と合同で市内金融機関を訪れ、地元企業が必要とする年末資金などの需要に対応するよう、金融の円滑化を要望した。

　毎年末に行っているもの。今年は北村会頭と杉本匡規副会頭、白濱敏専務理事、市の北村幸彦商工労働課長らが、網走信金と北洋銀、道銀の３金融機関を訪れた。

　要望は、２年以上にも及ぶ新型コロナの影響、さらにはウクライナ情勢や円安による原材料、燃料価格の高騰から、コストが大幅に増加。収益を圧迫するなど、依然としてコロナ禍前の水準にはほど遠く、さらに厳しさを増していると、地元企業の不安を訴えている。

　そんな現状で年末の資金需要期を迎え「こうした不安を払拭し、地元企業が安心して事業に専念し、地域経済や雇用を支えていくためには、積極的な金融支援策が必要」と求めている。

　要望は①中小企業、小規模事業者の業況を積極的に把握し、資金繰り相談に丁寧に対応するなど、事業者のニーズに応じて、最大限寄り添ったきめ細かな支援を引き続き徹底②既往債務の返済猶予や、貸し付け条件変更への柔軟な対応、新規融資や資本性劣後ローンの推進など、中小企業や小規模事業者の実情に合わせた最大限の資金繰り支援のさらなる強化③中小企業や小規模事業者に寄り添い、強みや将来性を見極め、持続可能な事業への再構築を粘り強く支援するとともに、事業の性質や実態を踏まえた融資、コンサルティングを行い、企業や産業の成長を支援―の３項目となっている。

　３金融機関のうち、網走信金では伴道弘郎理事長に要望書を手渡した。

　北村会頭は「円安、物価高は誰にも予想できなかった。コロナ対策のゼロゼロ融資も返済が始まっており来年、再来年は大変な時代になる。廃業という言葉がどんどん出てくると感じている」と危機感をあらわにし、積極的な支援策を伴理事長に求めた。

　要望書を受け取った伴理事長は「長引くコロナ禍、ウクライナ情勢、円安基調による物価高の影響が企業経営を直撃していると考えており、当金庫にも『収益に悪い影響が出ている』という声が寄せられている」と、地元企業の厳しい現状に理解を示した。

　その上で「私どもも、今まで以上に体制を整え、商工会議所と連携し、困っている事業者に個別に対応していきたい。企業の存続は、私どもの取引先を守るということ。地域の課題として共有していきたい。改めて全店に伝え、地域の企業を守っていきたい」と応じていた。