函館山でのフィールドワークでツマグロヒョウモンを見つけた函館工業高校生物部（提供）

　函館工業高校生物部はこのほど、函館山でツマグロヒョウモンのオス３頭を発見した。このチョウは道内に生息せず、本州から飛来するいわゆる「迷蝶」で、同部顧問で道南虫の会会員でもある薩来俊彦教諭は「道内におけるツマグロヒョウモンの発見は珍しく、函館山での３頭同時発見は貴重な記録だろう」と話している。

　ツマグロヒョウモンは主に西日本に分布するチョウだが、近年は地球温暖化の影響により、北限生息地が関東地域にまで広がったともいわれている。ヒョウ柄のようなオレンジ色の羽と黒い斑点が特徴。移動力が高く、これまでにも函館をはじめ道内で発見されたことはあるものの、その数は少ない。今回の場合は「５、６月に本州から渡ってきたメスが函館山で産卵し、それらが羽化した個体ではないかと推測する。同じ日に３頭発見したということは、実際にはもっと数がいるのかもしれない」と薩来教諭は分析する。

　同部は８月下旬、部活動の一環で別のチョウのアサギマダラのマーキングに取り組むため、函館山でフィールドワークを実施。この日アサギマダラを見つけることはできなかったが、偶然にも千畳敷付近でツマグロヒョウモンを発見。一度は見失ったものの、その後２頭を発見し、残る１頭を函館山展望台で見つけた。

　フィールドワークに参加した工業化学科２年の松浦冬真さん（１６）と森山夢斗さん（同）、環境土木科１年の山崎美月さん（１５）は「ツマグロヒョウモンを知らなかったが、薩来先生が興奮した様子で珍しいチョウであることを教えてくれた。３頭も見つけることができてうれしく思う」と声をそろえていた。