切れ目なく子育て支援「苫小牧ネウボラ」立ち上げ
妊娠期から子育て世帯を切れ目なく見守り、必要な支援につなげる子育て支援の場「苫小牧ネウボラ」が今月、苫小牧市内でスタートした。立ち上げたのは同市出身で、札幌市で子育て相談や親子サロンなどを手掛ける五嶋耀祥(ひな)さん(43)。末広町のビルに拠点を構え、まずは食料品の無料配達「宅食」から始める考え。五嶋さんは「既存の支援団体などとも連携を取りながら、子育てしやすいまちを目指したい」と意気込む。
「ネウボラ」は妊娠中から子どもの就学までの期間、担当の保健師が一元的に家族全体を支えるフィンランドの制度。家族の健康を守るとともに、その世帯が必要とする支援をできるだけ早い段階で提供することを目的としている。
2児の母でもある五嶋さんはこの取り組みに感銘を受け、2015年にNPO北海道ネウボラを札幌で設立。IT関連の会社も立ち上げ、地域・医療・教育・ITを絡めた「札幌版ネウボラ」として、妊娠中や乳幼児を育てる人らの子育てサロン、個別相談、宅食などの活動を行ってきた。
さらに新型コロナ禍に見舞われた20年以降は、雇い止めや子どもの休園・休校による収入減で「食べるものがなくなった」と窮状を訴えるケースが急増。宅食の強化と同時にカレーライスを振る舞うなどし、子育て世帯を支えてきた。
今年は札幌以外でも活動を展開しようと、ふるさと苫小牧でのネウボラ立ち上げを計画。全国組織のこども宅食応援団から届く食料品の戸別配達を手始めに、困窮世帯を継続的に見守りながら家族のニーズを把握し、必要な支援につなぐことを目指す。
宅食の開始は6、7月ごろを予定。札幌での実践を生かし、将来的には親子サロンや個別相談の展開も構想している。「相談は子育ての悩みにとどまらず、健康や家庭環境、経済状況など多岐にわたり、従来の縦割り的な相談窓口では解決できない複雑な問題が多い」と指摘。市内の子ども食堂や子育て支援団体などとも協働し、あらゆる地域資源を生かした見守りネットワークを構築したいという。
五嶋さんは「自分も含め、子育て中の親は誰もが悩みを抱えている」と強調。「大切なのは『つながり』。地域全体で子育て世帯を見守ることができるよう、ハブ(拠点)的存在になりたい」と話している。
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