飛来減少は赤潮が原因か【浦河】
浦河探鳥クラブ(春田清美代表)の総会と学習会が15日、町総合文化会館で開かれ、勉強会で日高鳥類研究所の谷岡隆所長が講演した。
谷岡さんは浦河町の日高幌別川や新ひだか町の静内川などを越冬地としているオオワシとオジロワシについて、生態、特徴などや、今冬の飛来数が少ないことの原因として、昨年9月下旬に道東や日高管内で発生した赤潮との因果関係を谷岡所長が撮影した写真や動画を使い詳しく解説した。
「日高ワシ大全集」のテーマで行われ、会員ら24人が参加。最初にオオワシとオジロワシは環境省のレッドリストで絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されていることや、オオワシとオジロワシのそれぞれの生態、特徴、生息分布などをワシ類全般の話をした。この中で、普段なかなか目にすることのない顔のアップや採餌シーンの動画も紹介された。
谷岡所長が新冠川で調査したデータによると、2020年11月は多い日で55羽を確認したが、21年11月は28羽が最多。日高幌別川でも20年11月は最大90羽を確認したが、21年は24羽に。この飛来数が大幅に減少した原因として赤潮を挙げ、赤潮発生で襟裳岬以西にワシの主食のサケが移動せず、サケが来なければワシは生息不可能なため、日高河川のワシが減少したという。
また、谷岡所長は昨今気になることとして、「非常に警戒心が強く、人影を見るとすぐに逃げたりする。昔はこんなことはなかった」と話し、アマチュアカメラマンなどの愛好家らが撮影でワシに近づきすぎることや、観察ツアーなどが影響しているのではと指摘し、事業の見直しなどを検討すべきとしながら「絶滅が危惧されているから絶滅危惧種。国が法で保護を義務付けしている種を対象とするツアーは、ワシにとってデメリットしかない。絶滅危惧種は商品ではない」と強調。
最後に「日高のワシは日高人が守り、無事越冬させるのは、そこに住む人の責務。日高に多数訪れる環境、フィールドの形成は野鳥を愛する私たちの役目」と参加者へ呼び掛けた。
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