寒冷期の避難対応確認 2年3カ月ぶり 市総合防災訓練
苫小牧市は13日、市総合防災訓練を市役所本庁舎と苫小牧東小の2カ所で実施した。2年3カ月ぶりの訓練で、冬季開催は初。オンライン会議システム「zoom(ズーム)」も初めて活用した。市や消防、苫小牧警察署、室蘭地方気象台、陸上自衛隊第73戦車連隊などの計約120人が参加。樽前山の中規模噴火を想定した避難誘導や感染症対策、避難所開設の手順などを確認した。
市役所では岩倉博文市長を本部長とする災害対策本部会議訓練が行われた。樽前山火山避難計画と市地域防災計画(噴火災害編)に基づき、突発的な課題に対し臨機応変に対応することを目的に、実践形式で進められた。オンラインでは札幌管区気象台の火山専門家や避難所開設訓練が行われた苫小牧東小をつなぎ、気象のアドバイスをもらったり、避難所の状況を確認したりした。
訓練は、積雪寒冷期の中規模噴火時の対応がテーマ。火山性地震の規模が大きくなった1月13日から噴火を経て、噴火警戒レベルの引き下げの検討に入る4月1日までの約2カ月半の期間を想定して行われた。
演習として、噴火前兆段階における冬山登山者や逃げ遅れた市民の避難誘導、噴火後の避難所における感染症疑いへの対応、火山灰の回収、小中学校早期再開のための避難所統廃合の検討―など、七つの課題について協議した。
気象台関係者は冬季の火山活動の特徴として、火山を覆う雪や氷が溶けて火山噴出物と混ざり、谷筋などの地表を流れる「融雪型火山泥流」を挙げ、「避難までの時間的猶予がほとんどなく生命に対する危険性が高い」と指摘。「噴火の規模によらず、噴火後は長期間にわたり泥流や土石流の発生に警戒が必要」と訴えた。
訓練後、室蘭地方気象台の森江秀昭次長は「リモートによる情報共有を特徴とする実践的な訓練ができた。実際の樽前山は静穏だが溶岩ドーム周辺は高温状態が続き、注意深く見守っていく必要がある」と講評。岩倉市長は「訓練はエンドレスの対応、対策が続く。一人でも多くの命を守るため連携と情報共有を進めることが大事」と述べた。
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