西野学部長から学部長賞を受け取る川井さん（右）と吉田さん

　【網走】オホーツク地域の食材や原料、さらに加工技術や流通、ビジネスまでを知り、地域資源を生かすための基礎知識を修得してもらう、東京農大生物産業学部が独自に取り組んでいる検定「オホーツク・フードマイスター」の表彰状授与式がこのほど、同学部で行われた。

　同プログラムを受講する学生のうち、初級コース、上級コース合わせて延べ15人が、それぞれ加工後に廃棄される残渣（ざんさ）などを使った商品を開発。昨年12月に発表会を行い、同学部の関係者らが試食、評価した。

　今回の授与式は、この時の結果によるもの。西野康人学部長は「これまで頑張ってきた成果が、今日の表彰につながっている。学科を超えた、生物産業学部ならではのプログラムで、いろんな経験や学びができたと思う」と、プログラムに取り組んできた学生にねぎらいの言葉を送った。

　表彰は初級コース、上級コースの順に行い、それぞれ西野学部長が学生に表彰状を手渡した。

　発表会で最も評価の高かった商品に贈られる学部長賞は、川井友太さん（食香粧化学科２年）、吉田有佑さん（同同）の「廃棄用もなかを利用した新たな商品の開発」が受賞した。

　２人は、廃棄用もなかの皮を使い、サブレ生地にキャラメルコーティングしたスライスアーモンドを乗せたお菓子「フロランタン」風のお菓子を考案。サブレの代わりに廃棄もなかを使っており、食品ロス対策と、グルテンフリーのお菓子にしたことが評価された。

　また、出来上がりがマージャンのパイに似ていることから、商品名をマージャンの役になぞらえ「もな一色」などと命名したことも高い評価を得たという。

学部長賞を受賞した「もな一色」

　学部長賞が発表されると、２人はそろってガッツポーズをつくり、喜んでいた。

　川井さんは「開発を始めた当初から評価がよかった分、さらに良くしようとして時間がかかり、結果として発表会に滑り込むかたちになったが、食べてもらうことで最高の評価を得られてよかった」と話す。

　吉田さんは、体調を崩してしまったため発表会当日は出席できず、川井さんに負担をかけてしまったといい「相方（川井さん）がいなかったら、商品はできなかった。自分の分も頑張ってくれたので、うれしい」と振り返っていた。

　同プログラムを指導する佐藤広顕教授は、コロナ明けで先輩たちのデータがない中での挑戦となったこと、コスト計算だけでなくネーミングなども考えた商品開発など、プログラム参加者を評価。「発表会では、誰が学部長賞を取ってもおかしくないほど、どの商品も高評価だった」と明かすとともに「この経験を、将来につなげてほしい」と、学生を激励した。

　表彰式では、審査をした菓子店「壺屋総本店」（旭川市）から、杉原諒さん（北方圏農学科２年）、望月慈希さん（海洋水産学科２年）に特別賞「製品にならないお菓子ネーミング」も贈られた。

　受賞者は次の通り。（敬称略）

　◇初級コース　後藤雷汰（北方圏農学科２年）、高橋凜乃介、黒田華那、吉田有佑、野中悠可（以上食香粧化学科２年）

　◇上級コース

　▽黒田華那、野中悠可（食香粧化学科２年）「ハスカップ残滓赤肉メロン残滓クリームチーズを使ったパン」

　▽関口輝、高橋凜乃介（食香粧化学科２年）「赤肉メロンの搾汁残渣を利用した酢鶏」

　▽高橋凜乃介、関口輝（食香粧化学科２年）「赤肉メロンの搾汁残渣を利用したソース」

　▽後藤雷汰、原田裕生（北方圏農学科２年）「廃棄用もなかの皮の利用」

　▽川井友太、吉田有佑（食香粧化学科２年）「廃棄用もなかを利用した新たな商品の開発」