ピンバッジ大人気

　函館市共同募金委員会（村瀬充会長）が作製した、今年のご当地ピンバッジによる募金額が前年比約２倍の約１２６万円となり、過去最高を記録した。ピンバッジは市内の観光施設で取り扱っており、土産品として観光客に大人気。函館の観光客数が大幅に増加したことを受け、募金額も跳ね上がった。

　ご当地ピンバッジは、赤い羽根共同募金に５００円寄付すると、１個もらえる。バッジの製作費を差し引き、半分ほどが募金額になる仕組み。毎年デザインを変えており、今年は五稜郭の城郭をかたどったバッジの表面に夜景を入れた。色はゴールドとシルバーの２種類を用意した。

　取り扱い場所は、函館山の山頂展望台や五稜郭タワー、赤レンガ倉庫、空港、市地域交流まちづくりセンターなど１６カ所。昨年取り扱ったバッジの数は２５９６個だったのに対し、今年は５０６５個（１２月２５日現在）と約２倍に近い伸び。製作費を引いた募金額も前年の６８万３３７０円に対し、今年は１２６万円超となる見込み。

　例年は２０００個台で推移していたことから、当初はゴールドとシルバーをそれぞれ１０００個ずつ作製。７月に取り扱い場所に置いたが好評だったため、すぐに追加発注した。函館市共同募金委員会の職員、平野愛奈さん（２６）は「結局、２回の追加発注で対応した。異例の事態だった」と驚く。

　すべての取り扱い場所で前年を上回った。平野さんは「観光スポットで多くの観光客が手に取ってくれたことが要因」とし、「函館が舞台となった映画『名探偵コナン』効果や、インバウンドの増加、クルーズ船の入港が過去最多となるなど好調だった函館観光が募金にも波及した」と分析する。

　また、ＳＮＳでも情報を発信したところ、大きな反響があったという。平野さんは「観光客のほか、多くの市民にも手に取ってもらった」と感謝。すでに来年のデザインを思案中で、「今年よりもすてきなデザインにしたい」と意気込んでいる。

　募金は、希望する福祉団体や福祉施設、社会事業に配分されるほか、災害時のボランティア活動の資金としても活用される。

函館市共同募金委員会が作製した今年のピンバッジ。五稜郭と夜景のデザインが観光客に人気だった