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苫小牧民報

17日、閉店 シシャモずしの大豊寿司 2年連続休漁で苦渋の決断 むかわ

シシャモずしの元祖として知られるむかわ町文京の大豊寿司が、17日の営業を最後に閉店する。にぎりずしや天ぷら、一品料理が味わえ、45年間地域に親しまれてきたが、シシャモの2年連続休漁などの影響で売り上げの減少が続き、苦渋の決断をした。

閉店する大豊寿司と2代目の鈴木さん

 同店は1979年8月、創業者の前川豊さん(80)が開店し、にぎりずしや天ぷら、ウナギなどを提供していた。干して食べるのが一般的な特産のシシャモを生で食べられないか試行錯誤を重ね、3年間かけてシシャモずしを開発。店の名物となり、10月から11月にかけてのシシャモシーズンには、名物のすしを求めて道内外から大勢の客が訪れた。

 前川さんは「1日200食限定でシシャモずしを出していたが、3~4時間で売り切れ、てんてこ舞いだった。」と振り返る。「各メディアで取り上げられ、日本だけでなく中国や韓国からお客さまが訪れたこともあった」という。

 2015年4月から2代目の鈴木佑介さん(38)が経営を引き継ぎ、前川さんの味を守り続けてきた。コロナ禍で年間売り上げが3分の1まで減ったが、シシャモ漁が行われていた年の10月は売り上げが伸びることもあった。

 しかし、常連客の高齢化もあって、コロナの5類移行後も宴会需要は戻らなかった。さらに、23、24年の休漁で、むかわでは「シシャモが食べられない」とのイメージが広がった。店では広尾産(十勝管内)のシシャモを提供してきたが、客足の減少は止まらず、10月に閉店を決断した。

 情報を知った常連客や遠く東京、大阪からも「うそでしょ」「やめないで」と閉店を惜しむ声が寄せられた。鈴木さんは「10月にシシャモがたくさん取れれば続けられたと思う」と無念さをにじませながらも、「これまで皆さまに支えられ、営業を続けることができた」と感謝する。

 前川さんは今月、かつて勤務した従業員ら約10人と店を訪れ、食事を楽しんだ。「従業員やお客さまに恵まれ、長年愛された店だった。胆振東部地震やコロナもあったが、よく頑張った」と鈴木さんをねぎらった。

 同店の営業時間は、昼が午前11時から午後2時まで、夜は午後5時から同9時まで。最終日の17日は予約が多く入っているという。

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