網走市文化賞を受賞した小堀さん

　【網走】今年度の市文化賞に、日本詩吟学院認可オホーツク岳風会網走支部の小堀義子さん（84）＝雅号・岳桜＝が芸術分野で選ばれた。このほど網走セントラルホテルで贈呈式が行われ、水谷市長が小堀さんに文化賞と副賞のブロンズ像を贈った。

「どっきりカメラ」かと

　式の中で水谷市長は「人々に心の潤いを与える芸術文化の振興に努められ、広く認められている。今後のさらなる活躍に期待します」と、小堀さんの功績をたたえた。

　来賓の佐藤伸弥道議、立崎聡一副議長も、それぞれ「健康に留意し、後進の指導に尽力を」「受賞を契機に、地域の文化振興に力添えを」と、激励した。

　これを受け、小堀さんは「受賞は信じられず『どっきりカメラ』かと思ったほど」と謙そんしながら、詩吟を始めた経緯や面白さを語り、仲間の協力に感謝しながら「今後も、微力ながら日本の伝統文化の継承に尽力したい」と謝辞を述べた。

　式の後は祝賀会となり、出席した人たちはみな小堀さんの下に集まり、その功績をたたえていた。

入院する母を喜ばせようと

　母が詩吟道場「清流吟詠会」で指導していたという小堀さんは、入院している母を喜ばせようと１９８９年、同会に入会。吟道の第一歩を踏み出した。

　その後は岳風会の活動のみならず、寿大学や長寿会詩吟クラブ、市内保育園の詩吟教室で講師を務めるなど、詩吟を通して健全な人格の育成に寄与するなど、地域の文化向上に貢献してきた。

　特に、その類まれなる芸術性の高い吟技は大会などでもいかんなく発揮され、過去４回出場した全国吟道大会で２連覇を含む３度の優勝と１度の準優勝と、その活躍はめざましいものがある。

　93年には踊翠流剣詩舞鶴双会網走支部に入会。伝統文化を絶やさぬよう、講習会や発表会、また吟道大会でも剣詩舞の普及促進に努め、その卓越した指導力で後進の育成にも力を入れてきた。

　今回の市文化賞受賞は、これらの活躍はもとより、さらに日本の伝統を次代に引き継ぐ努力を続けている功績が認められた。

　同賞は学術や芸術、教育、社会事業など市の文化発展に貢献した個人、団体に贈られるもので、市の開基１００年を記念して１９７２年に制定された。これまでに43個人７団体が受賞している。

　小堀さんに贈られた賞状は、網走市書道連盟の菊地照風さんが筆書きしたもので、小堀さんの好きな言葉「吟道は　氣を養うの道なり」が添えられている。