手紙や資料、状態良好

　室蘭商工会議所（中田孔幸会頭）は、創立１００周年記念事業の一環で、４０年前に埋めたタイムカプセルを発掘、開封した。当時の小学生たちが未来へのメッセージをつづった手紙、商議所がまとめた統計など１００点以上が、破損することなく当時のままで保存されている。商議所はタイムカプセル同窓会と題して、１１月３０日に室蘭プリンスホテル（中央町）で封入物を展示するほか、メッセージを返却する。

　タイムカプセルは１９８４年、商議所の６０周年記念事業として、測量山唐松平近くに埋められた。ステンレス製で直径８０センチ、深さ８０センチの円筒状。劣化防止のため窒素を充填。メッセージとして、住所や氏名、学校名などのほか、４０年後の自分に伝えたいことや、室蘭に期待することを書いた手紙などを入れていた。

測量山唐松平で掘り起こされるタイムカプセル

　９月１０日に現地調査などを行い、１１日午前９時から掘り起こしを実施。重機や人力で土を取り除いた。深さ１・５メートルほどに埋められた銀色のタイムカプセルが姿を表すと、クレーンでつり上げてトラックの荷台へ積載。４０年前にタイムカプセルを製造した日本製鋼所Ｍ＆Ｅ（茶津町）へと搬入した。

日本製鋼所Ｍ＆Ｅで行われた開封作業

　１２日午後から、同社敷地内で開封作業が行われた。ボルトではなく溶接でふたが固定されていることから、工具でつなぎ目を削り、ふたを開けた。

　タイムカプセルの内部に水が入ることもなく、保存状態は良好。メッセージは蘭西地区に当時あった絵鞆、桜ヶ丘、常盤、武揚の各小学校の児童が入れたとされていたが、蘭東地区の児童のほか、中学生や高校生、一般からも寄せられていた。

　また、商店街近代化のための消費者ニーズ調査報告書や商業近代化地域計画報告書、商工業者名簿といった商議所の冊子に加えて、ＪＲ時刻表、電話帳なども梱包されていた。

自身が書いたメッセージを探す（左から）舟迫さん、杉本さん

　９月１１、１２日の作業を見守った２人の女性がいる。４０年前、桜ヶ丘小学校に在籍していた舟迫恵さん、杉本佳代子さん。メッセージをタイムカプセルに入れる際に受け取った引換券を、舟迫さんが財布の中で大事に保管していた。ふとメッセージを書いたことを思い出して、商議所に問い合わせて、友人の杉本さんと駆け付けた。

タイムカプセルに保管されていたメッセージや書籍類は破損することなく当時の状況を保っていた

　テーブルの上にメッセージが置かれると、２人は自分の名前がないか探し始めた。中には友人のきょうだいとみられる名前がある中、舟迫さんの手紙を発見。中を見ると「むろらんはごみがちらかっていないまちだといいな」と、きれいな文字で書かれており「見つかって良かった」と安どの表情を見せていた。

１１月３０日「同窓会」

　室蘭商議所は資料の保存状態が良好なことから、タイムカプセル同窓会を１００周年記念事業として開催する。１１月３０日午後１～５時、室蘭プリンスホテルで展示する。

　メッセージの受け取りは、当日会場のほか、郵送でも可能。商議所ホームページ（https://www.murocci.or.jp/）でタイムカプセル同窓会の概要や、返却希望の際に申し込むＱＲコードを掲載している。

　問い合わせは電話０１４３・２２・３１９６へ。