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苫小牧民報

海外に白老文化発信 スタッフ3人欧州訪問 多文化共生プログラム活発化

白老文化観光推進実行委員会(熊谷威二会長)は、町内で開催している芸術祭「ルーツ&アーツしらおい2024―白老文化芸術共創」の一環で、海外と文化交流する多文化共生プログラムに取り組んでいる。28日まではスタッフ3人が欧州に滞在し、アイヌ語を教えるイタリアの大学関係者らと交流。13日には北海道大学の留学生らに町内でアイヌ刺しゅうを手ほどきするなど、海外への白老文化の発信に挑んでいる。

アイヌ文様刺しゅうを学びに来た外国人に手ほどきする白老アイヌ協会副理事長の岡田さん

 芸術祭は、同実行委と文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会が21年に始めた。今年度は9月20日~11月1日の日程で町内各所に町内外の作家のアート作品を展示し、芸術系ワークショップを開いている。

 多文化共生プログラムは昨年度、訪日客対象の観光ツアーなどの実施や磨き上げを目的に着手。今年度は活動を本格化し、国内外で白老文化の発信に取り組んでいる。

 現在欧州で活動しているのは、実行委のスタッフ乾藍那さん(37)と民族共生象徴空間(ウポポイ)を運営するアイヌ民族文化財団職員の山田美郷さん(58)、アイヌ民族にルーツを持つ歌手の豊川容子さん(46)。

 24~28日の日程でイタリアとスイスを訪問。25日はヨーロッパで唯一アイヌ語を教えるイタリア・カフォスカリ大学の関係者と交流し、樺太アイヌ語が専門のエリア・ダルコルソ教授(35)の講義を聴講した。26日は豊川さんが同国の国立ベネチア大学サンタマルゲリータ講堂でコンサートを開き、歌声を披露する。スイスには27日に移動、ルガーノ文化博物館で舞踊や歌のワークショップを開く。

 町内では13日、白老アイヌ協会副理事長の岡田育子さん(75)が、来町した北大の留学生21人と北海道日伊協会の会員2人に川沿生活館で簡単なアイヌ文様刺しゅうを指導した。チェコ出身でドイツ・ミュンヘン大学の留学生アダム・ベルナティークさん(22)は「刺しゅうは難しいが、アイヌ語の文法に興味があり、多くのことを学びたい」と意欲を示していた。

 海外に向けた文化発信は芸術祭の会期前に始め、8月には同実行委の文化観光推進プロデューサー貮又聖規さん(52)が南米パラグアイに赴き、現地で町産「エント茶」を紹介した。また、9月27~30日には、スタッフが白老の観光資源調査で来町したハワイ大学の教授ら3人を白老八幡神社例大祭や倶多楽湖でのカヌー体験に案内している。

 同実行委は来年度以降も同様の活動を続ける方針で、貮又さんは「古きを温(たず)ねて新しきを共創するウィマム(交易)のまちとして、白老の文化資源を広く発信していきたい」と意気込んでいる。

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