遡上する秋サケ迎える アイヌ民族の伝統的儀式 第15回アシㇼチェㇷ゚ノミ【平取】
【平取】川に遡上する秋サケを迎えるアイヌ民族の伝統的儀式「第15回 アシㇼチェㇷ゚ノミ」が5日、二風谷地区の沙流川支流のオサツ沢で行われ、伝統漁具でアイヌ民族のサケ漁を再現。町と町アイヌ総合政策推進協議会が主催。
2008(平成20)年度から始まった平取地域イオル再生事業の体験交流の一環で、広くアイヌ文化を知ってもらう機会として儀式を復活させた。豊漁を願って祈りを捧げるアイヌの精神文化や伝統的な漁具や漁法を後世に伝承できる場となることを願って行われている。この日は、町内外から53人が参加した。
儀式のカムイノミを始める前に、司祭を務める平村太幹さんがカムイチェプ(サケ)を捕まえ神に捧げ、神々に感謝し祝詞を捧げた。
日高町福満沙流川さけ・ますふ化場(日高管内さけ・ます事業協会)から提供された30匹の内19匹をいけす状にした沢の一角に放流し、参加者は「マレㇷ゚(自存銛)」と「アㇷ゚(鈎針)」という伝統漁具の使い方の指導を受け、採捕に挑戦した。
豊浦町から参加した北海道シュタイナー学園・いずみの学校5年生の峯吉慈映くんは「学校で北海道の郷土について学習している。先住民族ということでアイヌ民族の事を知った。夏休み中あちこちのコタンを回った。インターネットで今日の儀式の事を知った。思っていた以上に捕まえるのは大変だったがとても楽しかった。体験したことを友達に話したい」と話した。
儀式終了後はイオル文化交流センターへ移動し「アシㇼチェㇷ゚チェプカムイ(漁期の最初に獲れたサケ)は村中すべてにエイメㇰ(おすそわけ)する」という昔の風習にならい、参加者全員でサケ料理を味わった。