全国初の実験 送迎は郵便車両で 配達業務の合間に【上士幌】
上士幌町と日本郵便(東京)は、公共交通の担い手不足や郵便需要の縮小に対応するために1日、郵便車両を使って有料で客を運ぶ実証実験を始めた。町によると、市町村などが運営主体となって自家用車で客を有償で運ぶ「公共ライドシェア」で、郵便車両を活用するのは全国で初めてという。町デジタル推進課は「既存のものを公共交通に役立てていきたい」としている。
町は今年度、国土交通省が地域公共交通などの課題解決を支援する「共創・MaaS実証プロジェクト」の「共創モデル実証運行事業」に採択された。今回の実証実験は、自家用車を用いて有償での送迎が認められる「自家用有償旅客運送」の制度を活用し、町が上士幌郵便局に高齢者の送迎を委託。配達員が配達業務の合間に対応する。
居辺地区に住む65歳以上が対象で、町の「高齢者等福祉バス」居辺線が運行していない火・木・金曜日に実施する。送迎先は上士幌クリニックや町交通ターミナルなど8カ所。乗車定員は1人とし、利用者は集配車の助手席に乗る。片道約3~12キロを想定し、料金は1000円。
事業費は約120万円。利用者は町が配布したタブレットで1週間前に予約する。運行時間は午前9時半から午後3時半まで。
初日に町ゲートボール場から自宅まで利用した大西フミさん(90)は「隣に人がいて会話もできると楽しい。とても便利ですね」と笑顔を見せていた。竹中貢町長は「公共的なサービスの視点でも使われて、移動手段に有効活用できれば」と期待する。実証実験は11月29日まで。問い合わせは町デジタル推進課(01564・7・7230)へ。
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