北海道ニュースリンクは北海道の参加新聞社がニュース・イベントを配信するサイトです

苫小牧民報

穂別博物館のヒゲクジラ化石 同館など3者で共同研究 むかわ

むかわ町穂別博物館所蔵のヒゲクジラ化石について研究していた同館、札幌市博物館活動センター、山形大学は、同化石がヒゲクジラの中で絶滅したグループに含まれるイサナケタスに近いが、同種ではなかったことを発表した。中期中新世(1500万~1150万年前)より古い時代から、イサナケタスの仲間で未知の種が北海道に生息していた可能性を示しており、3者によってまとめられた研究論文は日本古生物学会出版の英文学術誌に掲載された。

穂別博物館で展示されているヒゲクジラの化石。英文学術誌に国際的な研究成果として掲載された

 研究論文は「北海道の前期中新世後期から中期中新世前期の地層より見つかったイサナケタスに似た新たなヒゲクジラ化石について」。英文学術誌「パレオントロジカルリサーチ」に掲載されたことを、3者が9日に発表、同化石の常設展示も同館で始めた。

 同化石(奥行き約50センチ、幅約35センチ、高さ約18センチ)は頭骨の一部で、後頭部や鼻孔が残っている。

 3者の2017年からの調査で、前期中新世後期から中期中新世前期(約1670万年~1530万年前)の地層から出たと分かった。全長4メートルの若いヒゲクジラの化石と考えられ、02年に三重県と岐阜県で見つかった新種のクジラの化石イサナケタス・ラティケファルスに非常に似ているが、鼻骨の形などが違い、同種ではないと判明した。

 道内でこれまでに発見されたイサナケタスの仲間の化石は、十勝管内大樹町で確認された中期中新世のタイキケトゥスのみ。同館の化石の存在は、これより古い時代から北海道にイサナケタスの仲間、それも未知の種がいた可能性を示唆する。

 イサナケタスは、ヒゲクジラ類のうち、絶滅したグループ「広義のケトテリウム類」に含まれるが、標本数が少なく、研究はそれほど進んでいない。このためイサナケタスと似て異なる同館の化石は、成長変異などを知る意味でも貴重という。

 化石になる前(数万年前)に破損し、若い個体でもあるため「新種」にはならなかったが、周辺の地層から今後、新種のクジラ化石が見つかる可能性はある。3者は「一つの化石の研究発表で、世界中の研究が進む。人類共通の知に加わることができた」と成果を受け止めている。

 同館のクジラ化石は08年6月、平取町仁世宇の仁世宇川の川岸で発見された。当時学芸員だった桜井和彦館長が現地を発掘し、複数の破片を見つけて接合すると一つの頭骨となり、同館に所蔵された。17年から桜井館長、大阪市立自然史博物館学芸員の田中嘉寛氏(現札幌市博物館活動センター学芸員)、山形大学教授の本山功氏の3人で共同研究を進めていた。

関連記事

十勝毎日新聞

「牛とろ祭り」初開催 感謝価格で丼など提供【清水】

 牛とろフレークなどで知られる十勝スロウフードは16日、清水町御影の本社前で「第1回牛とろ祭り」を開く。9月(ギュウ)16日(トロ)の「牛とろの日」に合わせて初開催。牛とろ丼を先着100人に無料で...

十勝毎日新聞

初の野菜直売所開設 町観光情報センターに 農業大学校【本別】

 道立農業大学校(本別町西仙美里、下堀亨校長)は、本別町観光情報センター(共栄18)に野菜直売所を初めて開設した。国道242号沿いで、本別インターチェンジからも近く、「豆屋とかち 岡女堂本家」そ...

十勝毎日新聞

自動運転バスの市街地運行実証実験始まる 27日まで【更別】

 更別村内で自動運転レベル2の自動運転バスを市街地で運行する実証実験が10日から始まった。温泉や診療所などがある「福祉の里総合センター」と「街中交流館ma・na・ca」を最短距離で結ぶルートを走行...

室蘭民報

釣り文化、室蘭港拠点に 国がモデル港指定、祝津絵鞆を来年度プレ開放へ

 国が定める国際拠点港湾で天然の良港として知られる室蘭港が、釣り文化振興モデル港として国交省港湾局から指定を受けた。今後関係機関による協議会を立ち上げて、2026年度以降に内防波堤の一部などを...

室蘭民報

市の業務改革アドバイザーに髙光さん就任 民間知識で効率化へ【登別】

 業務のデジタル化、ペーパーレス化など業務改革(BPR)を進める登別市のBPRアドバイザーに、コールセンターなどの業務効率化の経験がある髙光恵介さん(38)=東京都在住=が就任した。来年3月末ま...

CATEGORY記事カテゴリー

MEDIA参加新聞社

ARCHIVE月別記事リスト

RANKINGアクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス