日本画の最高峰公募展「創画展」を主催する創画会会員で、１９７２年度第１回釧新郷土芸術賞を受賞した羽生輝さん（８２）が９日まで、「写生して歩いたパリの街」と題した作品展をコーヒーサロン「つきみ坂」（釧路市富士見３）で開催している。

パリの街を描いた作品の前に立つ羽生さん

　出品作品は１１点。４度にわたって訪れたパリの街の景観が水彩画で描かれている。「私は晴れたパリの街より、曇った日のパリが好きでした」と羽生さん。城巡りの中で出合ったしゃれた小さなホテルの全景、教会の数々、パリ五輪の開会式の場となったセーヌ川、そして大火で一部を焼失したノートルダム大聖堂などを曇った空とともに描いている。

　「シャンソンを聞いている曇った日、ちょっと雨が降っている時が好きでした」という羽生さんが、今回展示するパリを描いた絵画は未公開の作品ばかり。これまで展示する場を探し求めていたという。

　 初めてパリを訪れたのが２５歳の時。そして釧路星園高校の教員時代、５６歳の時に文化庁芸術家在外研修員としてパリに３カ月間短期留学した。この経験が後に日本画家としての力の源となる。そのきっかけとなったパリの街の写生の数々。「ここならば」と展示に選んだのは、眼下に春採湖が広がる丘の上、竹老園前を過ぎて、アルミ製のしゃれた看板を目印に左折し、細い急坂を上り切った所に立つ喫茶店。友人に教えてもらったこの店でコーヒーを楽しむのが好きという羽生さんは「ここなら皆さんにゆっくりとパリの作品を見てもらえる」と話している。

　同店の営業時間は午前１０時～午後５時。水曜定休。問い合わせは０１５４（６４）６１１５へ。