魚介類生き生き いけすに微細な泡発生装置導入 苫漁協が実証に協力
苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)が魚介類を保管するいけすで、直径1マイクロメートル未満の微細な泡「ウルトラファインバブル」の発生装置を導入し、活魚が死ぬロスを削減している。農業用機械などを展開する丸山製作所(東京)、日本航空グループ商社JALUX(同)が連携し、同装置を水産分野で初めて活用したもので、苫小牧漁協は「酸素濃度が維持でき、魚介類にとっても良い状態」と話している。
ファインバブルは、水と空気で構成する環境に優しい技術。泡の大きさによって区別されており、ウルトラファインバブルは目に見えないような微細な泡で、水中で溶解や浮上がしづらく、洗浄や植物の生育促進、酸化抑制など幅広い効果が期待されるという。丸山製作所はこれまで農業分野で同技術を使ってきたが、水産分野に参入しようと酸素気液混合ウルトラファインバブル発生装置を開発し、苫小牧漁協が実証に協力した。
同装置は、ポンプからいけす内に一度の通水で、均一かつ高濃度のウルトラファインバブルを作るため、熱伝導による水素の上昇もほとんどなく、酸素濃度を長時間にわたって一定に維持できるのが特長。同漁協のいけすで約半年かけて効果を実証したところ、海水中に溶け込む酸素の量は、従来1リットル当たり7~10ミリグラムのところ、同9~13ミリグラムに向上。魚介類の死ぬ数が減っただけではなく、さばく際のこしの強さも変わるなど、生きの良さにつながったという。
今月1日に両社が同漁協への導入を発表し、丸山製作所は「水産事業者の利益損失の低減のみならず、社会全体の経済損失を低減する一歩」と強調。苫小牧漁協は「酸素濃度が高まり、維持された効果で、タコなどを詰めても、いけす内は汚れず、酸欠も防ぐことができている」と効果を実感しており、同社は「水産資源のロス低減をはじめ、他の1次産業への応用や、それに適した装置の開発に取り組む」としている。
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