アイヌ文化の保存・継承へ 国有林から林産物を採取 平取町と日高北部森林管理署 共用林野制度契約締結【平取】
【平取】町と日高北部森林管理署は1日、アイヌ民族がアイヌ文化の保存、継承又は振興のために国有林から林産物を採取することができる「共用林野制度」の契約を締結した。
同制度は、1899年(明治32年)に法制化された「委託林」を起源とし、「国有林野の管理経営に関する法律」に基づく。アイヌ共用林野は、2019年(平成31年)に制定された「アイヌ施策推進法」に基づく特例措置。
今回の契約では、平取町内の国有林7306㌶の広大な面積を設定し、町内の国有林野面積(4万1876㌶)の約17%に相当する。全国5例目の契約締結となり、アイヌ共用林野で最大の面積となる。アイヌ文化の安定的な継承と振興を目的に、祭具や伝統料理、伝統的家屋であるチセの副資材となるシバ、広葉樹の苗を育てるための種子、クチャチセ(仮設の狩小屋)を葺くトドマツの枝などを採取対象林産物として設定。契約期間は29年3月末まで。
町役場2階会議室で行われた契約締結式には、遠藤桂一町長、野木宏祐日高北部森林管理署長、高山修平取町議会議長、宇南山嘉宣平取アイヌ協会副会長、鈴木崇之北海道森林管理局企画課長、伊東孝之同保全課長らが出席した。
同管理署の野木署長は「広い範囲に設定したことで、資源を広く薄くローテーションして採取できる。再生可能なルールを作り持続的な運用に協力していきたい」とし、遠藤町長は「アイヌ文化の継承、振興に大きな役割を果たしてくれることを確信。取り組みをさらに進化させ国内外に広める意味でも有意義に活用させていただきたい」、宇南山アイヌ協会副会長は「設定され採取できることは大変喜ばしい。300年を見据えた森づくりを目指し、次世代につながる森づくりをしていきたい」と述べた。
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