北海道ニュースリンクは北海道の参加新聞社がニュース・イベントを配信するサイトです

苫小牧民報

白老町がホッケ陸上養殖 道内初の実証実験 新たな名産に

白老町は25日、陸上の閉鎖空間で海水を循環させて魚を育てる「閉鎖循環型陸上養殖」の試験導入事業を町虎杖浜で開始した。タラコ加工場に水槽を設置し、ホッケの親魚約30匹を放流した。町によると、2027年度に見込んでいる出荷を実現できれば同養殖の道内初事例になるという。生食用ホッケの安定供給も可能になり、町内漁業者の増収のほか、まちの新たな名産になることが期待されている。

ホッケが放流された水槽の前に立つ川下さん

 同事業は産学官の連携で進める新規事業で、近年続く漁獲量の減少で苦境にある町内漁業関係者の所得安定などを目的とする。

 26年度までの3年間を実証期間とし、今年度はホッケの親魚を試験飼育し、最適な飼育技術や生産規模を探るために必要なデータを集める。タラコ加工場の一角を借り、直径2・4メートル、高さ1・2メートルの円柱形水槽を設置。約4トンの海水を張り、滅菌処理、ろ過をして循環させる。水温はホッケに適した10~12度に維持。飼育をしながら魚体状況、水質、ランニングコストなどのデータを収集し、秋には採卵する。次年度以降は、種苗生産技術の確立と飼育魚のブランド化に向けて準備を進める。

 試験魚をホッケにしたのは、北海道を代表する魚であることや、陸上養殖によってアニサキスなど寄生虫の心配がなくなり、焼き魚だけでなく、甘味があるとされる刺し身での提供が可能になるため。この日は道栽培漁業振興公社伊達事業所(伊達市長和町)から体長約40センチ、重さ約1キロの親魚を運び、水槽に放流した。データ量を増やすため、9月末までに虎杖浜沖で漁獲した天然ホッケ約100匹も搬入する。

 事業で連携する産学官のうちの「産」は、町地域おこし協力隊員で元同公社技術顧問の川下正己さん(66)ら計4人。現場で養殖を担う。「学」は北海道大学水産学部から生まれたベンチャー企業「AQSim(アクシム)」で、実験のシステム分野を担当。2台のカメラとコンピュータを使い、魚体の体調管理、データ分析を行っていく。「官」の白老町は、両者の調整役として役割を果たす。

 町農林水産課の担当者は「海洋環境に左右されない新たな漁業を確立したい」と話し、川上さんは「ホッケの刺し身は脂が乗っておいしい。町民はもちろん、観光客に食べてもらい、白老を訪れるきっかけを増やしていきたい」と意気込んでいる。

関連記事

室蘭民報

室蘭市・広域連合・日鉄エンジニアリング、ごみ発電協定結ぶ 道内初、10月..

脱炭素/地産地消/施設供給  室蘭市と西いぶり広域連合、日鉄エンジニアリング(東京)は28日、ごみ発電電力の地産池消を機軸とした地域脱炭素の推進に関する連携協定を締結した。10月に運用開始となる...

室蘭民報

7月11、12日「酔ってけ浜町」 イベント多彩、来場を【室蘭】

カラオケ大会や弾き語り…  室蘭中央飲食店組合(波多野光則組合長)主催の「酔ってけ浜町チャリティービアフェスタ」が7月11、12の両日、行われる。例年の旧浜町アーケードに加え、今回初めて小公園に...

室蘭民報

「おかえりマイケル」30日復活祭 きのこ王国、恐竜マスコット修繕【伊達】

 伊達市大滝区三階滝町の国道276号沿いのレストラン兼物販店「きのこ王国本店」にある全長10メートルの人気恐竜マスコット「マイケル」が昨年、トラックに突っ込まれ、撤去されていた。復活を望む声に応...

釧路新聞

北前船ゆかりの地 交流拡大を 寄港地フォーラム前夜祭【釧路市】

 道東初開催となる、「北前船」ゆかりの地などが交流する、第34回北前船寄港地フォーラムinひがし北海道・くしろ(実行委員長・蝦名大也釧路市長)の前夜祭が29日、釧路市観光国際交流センターで開かれ...

苫小牧民報

知里幸恵ゆかりの施設訪問 マンロー博士の孫アイリーンさん  登別

登別市登別本町の「知里幸恵 銀のしずく記念館」に27日、病に苦しむアイヌの人々の窮状を医療奉仕で救ったスコットランド人医師ニール・ゴードン・マンロー博士(1863―1942年)の孫アイリーン・マンロ...

CATEGORY記事カテゴリー

MEDIA参加新聞社

ARCHIVE月別記事リスト

RANKINGアクセスランキング

  • 週間アクセス
  • 月間アクセス