知里幸恵ゆかりの施設訪問 マンロー博士の孫アイリーンさん 登別
登別市登別本町の「知里幸恵 銀のしずく記念館」に27日、病に苦しむアイヌの人々の窮状を医療奉仕で救ったスコットランド人医師ニール・ゴードン・マンロー博士(1863―1942年)の孫アイリーン・マンローさん(64)が、ドイツの都市リューベックから初めて訪れた。同館を運営するNPO法人知里森舎の松本徹理事長(70)の案内で、アイヌ神謡などに関する展示資料に触れた。
マンロー博士は、結核や栄養失調に苦しむ先住民の窮状に胸を痛め、1932年に長野県軽井沢町から平取町二風谷に移り住んで医療奉仕をした。考古学者、人類学者でもあり、アイヌ文化に興味を持ち、民具や工芸品を収集して研究にいそしんだ。
アイリーンさんにとっては父方の祖父に当たり、19日に13年ぶりに来日した。23日に平取町で開かれた第20回「マンロー先生をしのぶ会」に出席し、同町の旧マンロー邸を訪問するためで、同町に24日まで滞在。その後、博士の足跡が残る釧路市などを巡った。
同記念館は「アイヌ神謡集」の著者で同市出身の知里幸恵(1903―22年)の生涯、業績を伝える施設。ただ1人の孫として祖父が関心を寄せた文化に少しでも触れたいと、平取町の学芸員やマンロー先生をしのぶ会の貝澤耕一運営委員長(78)ら4人と来館した。
知里幸恵は1922年7月12日付の自身の日記に、アイヌとして生きることに喜びと誇りを持っているという「アイヌ宣言」を残しており、アイリーンさんは数々の資料に触れ、早世しながらも力強く生きた彼女の人生に「とても心が動かされた」と語った。
アイリーンさんは28日に帰国の途に就くという。
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