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十勝毎日新聞

地域おこし協力隊 吉田さん夫妻 農業に挑戦【本別】

 本別町の地域おこし協力隊として4月に着任した吉田秀典さん(44)と伸香さん(38)夫妻が、希少なくり豆や花豆の栽培に乗り出した。「日本一の豆の町」で知られる本別だが、和菓子の原材料として人気の高いくり豆や花豆は栽培に手間がかかることから生産者が減少傾向にある。収穫物は町内の菓子製造・販売の「くり豆本舗」(北4)に供給することで本別農業の6次化に貢献していきたい考えだ。

希少なくり豆や花豆の栽培に乗り出した吉田秀典さん(左)と伸香さん夫妻

 今回の取り組みは「本別くり豆プロジェクト」。5月20日の種まき作業を皮切りにスタートした。町勇足の畑作農家山下健司さんから畑10アールを無償で借り、マンツーマンの指導を受けている。

 種子はくり豆本舗などから提供を受け、畑の約8割をくり豆、約2割に白花豆を約3時間かけて手作業で行った。ビート苗定植用の道具を活用した。2人は農作業は初めて。秀典さんは「想像以上に重労働で驚いた。腰が痛く、農家の大変さを実感した」と苦笑いを浮かべながらも、「未知の世界なので楽しみ」と意気込む。

 くり豆や白花豆といった、つるがある豆は甘納豆やようかんなど和菓子に人気だが、作業は農家泣かせだ。株の横に竹を挿し、豆のつるを竹に誘導する「つる上げ」が必要。竹を挿しているので、機械での除草作業もできない。収穫も手で竹を抜いて巻き付いたつるを外し、豆を山積みにして乾燥させる昔ながらの作業で、機械化が進んでいない。

 本別を製造拠点に、くり豆の屋号を持つくり豆本舗は、栽培の手間がかかる「つるあり」の豆が必要だが、地元供給が難しく、ほかの十勝の農家から仕入れざるを得ないのが悩みだった。本別産の豆を中心にした加工体制が悲願だったという。

 2人は閉店したAコープほんべつ店跡にできる多目的施設で、ふるさと納税返礼品の商品開発や特産物の管理・販売などの業務に当たる。くり豆本舗の現状を知り、JA本別町などの協力を得て早速、チャレンジを決めた。

 伸香さんは「希少価値がある豆。少しでも本別の役に立てれば。農作業をすることで、全過程を知ることができる。(客の)質問に答えられるし、商品に愛着も湧くと思う」と目を輝かせる。

 収穫した豆はくり豆本舗に供給するほか、多目的施設で提供する商品への活用も視野に入れる。

 農業のノウハウを蓄積し、豆以外の作物に挑戦する夢も膨らませる。3年後の協力隊卒業後も見据え、多目的施設での事業展開も模索している。

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