大千軒岳遭難を想定 関係機関が捜索時の連携確認【福島】
【福島】大千軒岳(1072メートル)での山岳遭難発生と捜索拠点の構築を想定した4機関合同の現地確認が5月31日、奥二股登山道口で開かれた。昨年10月下旬には、登山客がヒグマに襲われ3人が死傷する人身被害が発生したばかり。各機関が持つ通信環境の確認やドローンを活用した上空からの捜索を実演した。
福島町側からの登山ルートとなる大千軒岳奥二股登山口の林道の通行が同日から可能となったことを受け、松前署と福島消防署、福島町、道森林管理局桧山森林管理署の4機関から約20人が参加。登山口には注意喚起の看板を新たに設置した。
大千軒岳では昨年10月下旬、単独で入山した男子大学生1人がクマに襲われ死亡。別の日には同一の個体が登山中だった消防隊員3人を襲い、撃退する際に2人が負傷した。
登山口は昨年の捜索時も現地指揮所を置いたが、携帯電話の不感地帯で、警察と消防は無線機、町は衛星携帯電話を使い、通信状況を確認。福島消防署は行方不明者捜索を想定し、5月から運用を開始したドローンを実演した。
ドローンは操作と映像の確認、周囲の安全確保の役割を3人1組で担う。カメラには人の体温など表面温度を感知したり、動く対象物を自動追尾したりする機能がある。遭難者の発見だけではなく、周囲にいるクマをいち早く見つけることで地上からの捜索隊の安全確保にもつなげることができる。
道警などのヘリコプターが捜索に出動した際には併用はできず、登山口から電波が届く範囲が1キロと課題はあるが、実演では山中に置いた人形を上空から捉えたほか、消防隊員の動きを追う様子を公開し、早期発見に有用な手段となることを確認した。
松前署地域交通課の玉川努課長は「有事の際には緊密に連携し早期に対処しなくてはならない。(遭難回避には)地形や天候も重要な要素。事前に情報収集した上で無理のない登山計画を立ててほしい」と話していた。
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