ヒグマの検知を自動化へ
はこだて未来大生のグループ開発
公立はこだて未来大(鈴木恵二学長)の学生グループが、IоTデバイス(Wi―Fiやブルートゥースの無線技術を使いインターネットに接続する対象)とAI(人工知能)技術を利用し検知を自動化する「ヒグマ侵入検出器」を開発した。監視するカメラがヒグマを検知すると、システムを通じメールを通知する仕組み。今後は実用化に向けソフト、ハード両面を高めるとともに、実践的な運用について検討を進める。
学生グループは昨年10月、学内公募型の研究プロジェクトとして始動。「敷地内へのヒグマ侵入を人工知能を使ったカメラ機器で検出、通知する機器の開発」をテーマに、開発予算30万円の中で、先進的技術を活用した実践的な課題に取り組み、試行錯誤を重ねた。メンバーは大学院博士1年の佐藤紘基さん(26)、修士2年の池山安杜里さん(24)、青柳心吾さん(23)、修士1年の赤松克真さん(22)ら9人。
開発システムは、入手しやすいESP32タイマーカメラXを、ヒグマ検知用のカメラデバイスとして利用。誰でも容易に、また、安価に準備できることを目指した。カメラを複数配置し、10分間隔に撮影した画像をクラウドシステムへネットワーク経由でアップロードし、画像を分析したクラウドシステムがヒグマの有無を判断する仕組み。ヒグマを検出した際は、メールの通知が届き、出現場所や時期を問わず綿密に監視することが期待できる。
成果発表では、大学教員や市職員から「ヒグマがいない空振りのコスト面や消費電力の問題」「ヒグマ以外の動物も対応できるか」などの質問が出て、学生は「電力さえあれば多くのことが可能」と答えた。
リーダーの佐藤さんは「まずはプロトタイプ(原型)が無事に完成した。カメラの性能や通信にまだ課題があるため改良し、実用化に向け取り組みたい」と話し、鈴木学長は「学生がテーマから教員の指導なしでも、ここまでの開発ができる能力を実証。実際に製作することで、具体的な課題が見える」と期待を込めている。
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