アイヌ工芸伝承拠点 阿寒ハリキキ開所祝う【釧路市】
阿寒アイヌクラフトセンター「ハリキキ」(釧路市阿寒町阿寒湖温泉4)で9日、オープニングセレモニーが行われ、関係者約70人が待望のアイヌ工芸技術の伝承拠点完成を祝った。同センターでは10日から、4人の研修生を迎え本格的な研修が始まる。
「ハリキキ」はアイヌ語で「よく働く、努力する」を意味する。市が2020年から国のアイヌ政策推進交付金などを活用し、釧路開発建設部の旧阿寒湖温泉除雪ステーションを改修しセンターとした。改修費は約3億9700万円。鉄筋コンクリート造2階建てで延べ床面積628平方㍍。織物や刺しゅう、木彫、ムックリの制作室は一部がガラス張りで作業の様子を見学できるほか、屋外には船などの大型木彫制作施設を完備する。
式典では蝦名大也市長が「地域の特性を生かした技能、技術を継承する大きな役割を担う施設。阿寒のさらなる魅力の一つにしたい」とあいさつ。廣野洋阿寒アイヌコンサルン理事長は「担い手不足は課題。技術力を上げ、仕事の選択をつくり広げることで阿寒に戻ってくる、残る人材育成と文化の伝承に努めたい」と述べ、白老町のウポポイ(民族共生象徴空間)の道東サテライトとしての位置付けにも意欲を示した。
会場では安全祈願の儀式(チセエピル)に続きムックリ演奏、「サロルンカムイリムセ(ツルの舞)」が披露された。式に参列した研修生で三重県出身の小荒尚幸さん(47)は「刺しゅうやアットゥシ(織物)の技術を学びたい」、釧路市出身の大和田秋之助さん(22)は「祖父の店を継げるよう木彫りを頑張りたい。祭具を手掛けられるようになりたい」と目を輝かせていた。
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