コースターづくり楽しむ えりも岬緑化事業に思いを馳せ【えりも】
【えりも】町郷土資料館主催のクロマツの間伐材を利用した「コースター作り」が4月27日、同館体験学習室で開かれ、町内の小学生から親子連れまで15人が、えりも岬緑化事業の歩みと森の大切さを知り、さらにものづくりの満足感を体験した。
講師は同資料館の高橋梨沙学芸員。
高橋学芸員は、「町内の襟裳岬から庶野地区に広がる海岸は、かつて豊かな自然林だったが、明治時代以降にえりも岬地区に本州方面からの移住者が増えるにつれて、住家の建築材や暖房燃料にして乱伐が進み、岬特有の強風とあいまって砂漠状と化し、赤土が海面を覆って漁業が危機にひんした」と説明し、「それを、昭和28年(1953)から国有林を管理する浦河営林署(現・日高南部森林管理署)が地元住民の協力を得て緑化事業に着手し、たゆみない努力を続けて昨年で70周年を迎え、今年はその足跡が映画化される」などパネルで紹介した。
コースターづくり用のクロマツは、森林管理署がクロマツが成長して密生状態になり、害虫被害防止上、適当な間隔を保つために不要な木を間伐したもの。林業に携わる工藤敏弥さん(目黒)が、直径8㌢ほどの幹を、厚さ1㌢ほどに切断協力した。
参加者らは、手にしたクロマツ材の美しい輪を数えて興味津々。高橋学芸員は、木は冬に成長が休止するので、毎年一つずつ輪が増えて木の年齢を知ることができることを説明した。
研磨作業は、木の両面と側面を2種類の紙やすりを使って磨ぎ、手で滑らかさを確かめながら1時間ほどで磨きあげ、最後に食用油を塗って仕上げた。小学生らは「きれいなカップを乗せてジュースを飲みたい」など、自作のコースターに満足そうな面持ちだった。
後半は、松ぼっくりの種を求めて冬期間に飛来したイスカの標本を見学。雄は全身が赤黄色、雌は黄緑色、湾曲したくちばしは先端で交差しており、子どもらは「可愛い」と言いながら野鳥にも興味を示していた。
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