生活密着、課題解決型の編成 一般会計、近年最多の283億円 網走市の新年度予算案
【網走】市は15日、2024年度予算案を発表した。一般会計は283億4237万9千円、前年度当初比6・4%増で、6つの特別会計と公営企業会計を加えた予算総額は429億6533万円、同3・6%増となった。
一般会計は、前年度比プラス16億9699万6千円、6・4%増となり、6つの特別会計は同マイナス1億1886万8千円、1・2%減少している。
水道事業、簡易水道事業、下水道事業の3事業会計を持つ公営企業会計は50億4509万5千円で、同7751万1千円、1・5%減となっている。
市の一般会計は、エコーセンターやレイクサイドパークのとろの整備など、公共施設の建設ラッシュとなった00年度の293億円が過去最大だった。
公共事業の多かった99年度は287億円で2番目となり、新年度はここ20年で最多、過去3番目の規模に膨らんだ。
過去4位は95年度の273億円で、以降は01年の272億円、98年度の271億円、96年度の270億円となっている。
新年度の主な増加要因は、新庁舎建設や郊外地区の道路整備、老朽化が進む公園の整備、ごみ処理の広域化による施設整備などによるもの。
ふるさと寄付を活用して教育や一次産業支援、医療の充実など17事業に17億100万円を充てる。
歳入は、農林業分野の法人市民税やバイオマス発電所の固定資産税が伸びるなど、市税は50億1千万円、同0・9%増となるが、臨時財政対策を考慮した実質的な地方交付税は67億8200万円、同0・5%減となった。
一般財源総額は、市税と地方交付税の増額により132億9482万円、同1・3%増となり、臨時財政対策をプラスした実質総額は133億2682万円、同0・9%増となっている。
国の物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を迅速に実施するため、23年度補正予算と新年度予算の一体化を図っている。 国の補正予算などを活用した重点事業として▽子育て世帯の負担軽減▽医療体制の充実▽産業活性化▽デジタル化推進▽地域交通の確保▽インフラの老朽化対策―に力点を置いた。
具体的には、市長公約でもある高校生までの医療費の無償化を8月から実施するため、こども医療助成事業を1億3764万円に拡充した。
家事や育児に不安を抱える子育て世帯などへ訪問支援員が訪れ、相談に乗り、養育環境を整える新規事業の子育て世帯訪問支援事業に773万円を充てた。
医療従事者や介護、障害者支援の従事者を確保するため、復職支援や人材確保対策などを縦横断的に実施する。
地域経済を支える人材を確保するため、既存の就労支援に加え、社宅整備を補助する就労者住宅確保支援事業に2千万円を計上するほか、外国人技能実習生受け入れ支援、公共交通人材確保支援なども並行して実施する。
公共交通の確保対策としては、路線バスの運行を支援する生活交通路線維持対策事業に1億406万円のほか、どこバスの運行支援としてデマンドバス運行事業補助金で4千万円を支出する。
郊外地区の交通手段のあり方を検討するデマンド型タクシーの導入に向けた郊外地区乗り合いタクシー運行実証実験事業で223万円を組んだ。JRの利用促進事業も進める。
猛暑対策として、全小学校の普通教室などにエアコンを設置する小学校冷蔵設備整備事業4億3123万円に加え、コミセンや住民センターをクーリングシェルターとして開設するため、エアコンを設置する整備事業で約300万円を新規で組んだ。
さらに、一般住宅の長寿命化や省エネ、バリアフリー化などに対する住環境改善補助金で、エアコン設置にも充てられるよう拡充して2300万円をみた。
ごみ処分場に関しては、近隣の町と広域処理の検討を進めている廃棄物処理広域化推進協議会の市分負担金2634万円や広域廃棄物中間処理施設整備調査事業に7552万円のほか、現在の最終処分場の遮水シートの補修で2210万円などをみている。
水谷市長は「子育てや医療、介護の充実など、市民生活に寄り添いつつ、持続可能な経済活動を資する支援にも積極的に取り組む。20項目の公約を着実に実現し、地域の課題解決に向けた予算を組んだ」と力を込める。
起債残高は2002年度末の534億円をピークに減少しており、24年度末に366億円となる見込み。
市はさらなる行財政改革を進めつつ、めりはりのある予算執行を進め「ひと・もの・まちが輝く、健康で元気な網走の実現」を目指していくとしている。
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