河﨑さん直木賞受賞 釧根管内歓喜に沸く
第170回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会で、別海町出身の河﨑秋子さん(44)=2020年度釧新郷土芸術賞受賞者=が小説「ともぐい」で見事直木賞を受賞した。受賞直後にはお祝いのメッセージが役場庁舎電光掲示板に投影されたほか、一夜明けた18日、町は町民栄誉賞贈呈の検討を始めたほか、書籍の特設コーナーを設置していた釧路市内の書店や図書館では、受賞作への問い合わせが多く寄せられるなど、盛り上がりを見せている。
電光掲示板で祝福
【別海】受賞を受け町は17日夜から、役場庁舎正面に設置の電光掲示板(縦11・2㍍、横80㌢)で、「河﨑秋子さん第170回直木賞受賞おめでとうございます。受賞作ともぐい」とのメッセージを投影し祝福している。
町は受賞発表直後から総務課と総合政策課が連携して作業し、メッセージの投影を開始。この日は特別に翌18日午前0時まで行った。町では「今後の河﨑さんの活躍を期待したい」と話している。電光掲示板の投影は午前8時~午後7時で、2月16日まで予定している。
出身地の町内では早速反響が出ている。河﨑さんの歴代の著作を特設展示している町図書館によると、受賞作「ともぐい」の貸し出しは9人待ちと前日から3人増加。「普段見られない方が多く来館していた」(同館)という。
町は河﨑さんへの町民栄誉賞の授与を検討している。本人が十勝管内に在住するため、現時点で日程などの詳細は未定だ。
受賞作やサイン本展示
釧路市中央図書館は18日から、釧路文学館(6階)など館内2カ所に特設コーナーを開設。このうち文学館には、受賞作「ともぐい」や著者サイン本を展示している。
河﨑さんが2019年に同館で開いた講演会は、会場の多目的ホールが満員になるほどの盛況で、利用者の間で注目度は高い。
現在、同図書館では「ともぐい」を6冊を所蔵しており、先月のノミネートから貸し出し予約が増え始め、17日時点で50件ほどだったが、受賞翌日の18日には97件にまで急増した。
貸し出しが混み合っているため、同文学館特設コーナーなどに予約カードを置いて対応している。同文学館特設コーナーの本は閲覧専用で、貸し出しはしていない。蔵書を増やすため、同図書館では読み終えた図書の寄贈も受け付けている。
同図書館の川口佳奈サブチーフは「利用者だけでなく、図書館ボランティアの間でも受賞を喜ぶムードが広がっている。この機会に受賞作以外の著書にも挑戦してみては」と来館を呼び掛けている。
受賞喜び 売れ行き好調
コーチャンフォー釧路店(春採7)では「ともぐい」を中心に、昨年12月から書籍コーナーを設置しており、地元出身の河﨑さんの受賞を喜んでいる。
ともぐいは昨年11月18日に発売され、コーチャンフォーグループ10店舗では18日の正午ごろまでに555冊が販売された。このうち釧路店では96冊。発表を受けこの日の午前中だけで10冊が売れ、「在庫はありますか」との問い合わせも多く寄せられたという。現在在庫はあるが、受賞を受けて多めの発注をしている。
同店書籍コーナーの小笠原勝樹マネジャーは「ここ最近の直木賞受賞者としては、地元ということもあり反響は大きい」と語る。「河﨑さんはデビュー前、当社の北見店で開催した桜木紫乃先生のサイン会に来てくれたことがある。桜木さんと握手して手を洗わず、その日のうちに三浦綾子文学賞に原稿を送り、それが``颶風(ぐふう)の王、、となって賞を取り、デビュー作となった」と振り返り、「当社としてはデビュー作に立ち会えた作家であり、今回の受賞は大変うれしい」と語った。さらに、「釧根地区は桜木紫乃さん、河﨑秋子さんと2人の素晴らしい作家が出た。改めて道東文学を手に取るきっかけにしてもらいたい」と話している。
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