奉納鍛刀を披露する渡辺刀匠（右）

　刀作りに用いる道具をねぎらい感謝する「鞴（ふいご）まつり」（伊達観光物産公社主催）が５日、伊達市梅本町のだて歴史文化ミュージアム内の刀鍛冶工房で行われ、刀匠や関係者らが１年間の感謝と安全、健康などを祈願した。

　鞴は金属の加工や精錬に使用する火を起こすための送風器。鞴まつりは道具を大切にする火を扱う職人たちが、安全と繁栄を祈願する伝統行事で、同工房では１９９９年の開設以来、毎年実施している。

　新型コロナウイルス感染予防のため、昨年まで関係者による神事のみを実施してきたが、４年ぶりに一般公開した。神事には同公社の鎌田衛代表取締役、堀井敬太市長、高田真次道議、辻浦義浩議長のほか、関係者、一般参加者ら約５０人が参列した。

　奉納鍛刀では、刀匠の渡辺惟平さん、菊地伸拓さんが鞴で真っ赤に熱した玉鋼を大小のつちで打ち伸ばし、割ることで材料の質を判断する「水圧（みずへ）し」を行った。

　奉納を終えた渡辺刀匠は「今年１年の感謝の思いを込めて打ちました」と語った。日本美術刀剣保存協会の現代刀職展短刀・剣部門で２年連続努力賞一席受賞については、「さらに上位の賞を狙いたい」と意気込みを示した。