西別湿原ヤチカンバ群落 国の天然記念物に指定【別海】
【別海】町市街地から5㌔ほど西にある「西別湿原ヤチカンバ群落」が、国の天然記念物に指定された。道内では49件目。20日に文化審議会が文部科学大臣に答申した13件のうちの一つ。文化的価値が国のお墨付きとなったことに地元は歓迎している。
ヤチカンバはカバノキ科カバノキ属の低木で、主にユーラシア大陸北東部に広がり、日本では別海町と十勝管内更別村の2カ所のみに分布。大陸と日本列島が陸続きだった氷期時代の生き残り種が現存する貴重な場所とされる。
1958年に更別村で国内で初めて発見されたヤチカンバが、74年に別海の西別湿原にも生育していることが分かり、町教育委員会が79年に自生地の一部を「ヤチカンバ群落地」として文化財に指定。2011年には「西別湿原ヤチカンバ群落地」として道の天然記念物に指定された。
町教委は群落地の恒久的保存に向け、15年に植物の専門家らで保護対策検討委員会を設け、19~21年度で西別湿原内3地区計10万1927平方㍍を調査した。その結果、最終氷期最盛期から完新世までほぼ連続しヤチカンバが分布していたことが分かり、遺伝的の多様性を維持していることから、植物地理学的にも遺伝学的にも価値が高く、国の天然記念物に指定し一層の保護を図る必要があるとして、結果を報告書にまとめた。
西別湿原ヤチカンバ群落が国指定の文化財となることに、相澤要教育長は「大変うれしく誇らしい。今後は保護対策を着実に進めながら、貴重な自然を間近で学ぶことができる場として教育的活用を図りたい」とコメント。長く調査に関わった町の戸田博史学芸員は「国の指定になることで保存と文化的価値の活用が一層進む」と期待している。
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