コンブでメタン減を 牛の飼料添加物を開発中【広尾】
広尾町の地域おこし協力隊の錦古里大河さん(24)は、牛のげっぷに含まれる温室効果ガスのメタンを減らそうと、広尾産コンブを原料にした家畜飼料添加物の開発に取り組んでいる。世界的には赤い海藻「カギケノリ」の削減効果が注目されており、コンブでも同様の働きがあると見込んだ。「コンブを軸に新たな循環社会を構築したい」と話している。
家畜のげっぷに由来する大量のメタンは、地球温暖化の要因として世界的に対策が急がれている。近年、カギケノリを飼料に混ぜて与えると腸内微生物の働きを抑え、メタンの発生を9割以上削減できるとの報告もあり、養殖技術の研究が進められている。
空知管内栗山町出身の錦古里さんは北海学園大の学生時代、他大学の学生と共同で道産コンブを活用した起業化を模索。その後、海藻類のメタン抑制効果を知り、環境系のテーマに再構築した「e-Combu」プロジェクトを立ち上げた。
今春、大学を卒業した錦古里さんは、内定していた企業にあえて就職せず、コンブ産地の広尾の協力隊員として移住。現在は農作業補助員として活動する傍ら、飼料添加物の開発研究に取り組んでいる。
錦古里さんのプロジェクトには、帯広畜産大や地元コンブ漁師の保志弘一さんも協力。現在は町内の旧農業用施設を借り受けて添加物を試作、コンブでも応用できるのか基礎研究を進めている。
今後、牛の給与試験も想定。有効性が確認されれば、漁業と農業が連携する新しい循環型ビジネスの具体化を進める考えだ。
錦古里さんは「広尾の強みを新たな形で産業に生かせたら、人の流れも生まれてくるのでは。広尾の環境を最大限生かして、チャレンジしたい」と話している。
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