日仏交流切り開いた箱館奉行・竹内保徳に思いはせ【函館】
1854(安政元)年に箱館奉行に就いた竹内保徳(たけのうち・やすのり)の子孫で東京都武蔵野市在住の竹内俊也(たけのうち・しゅんや)さん(68)が家族と来函した。11日には保徳の人道的配慮によって仏艦関係者が静養した実行寺(船見町、望月伸泰住職)や、国特別史跡五稜郭跡を訪問。日仏交流の始まりとなった函館の地で先祖の功績に思いをはせた。
竹内下野守保徳は竹内家の9代目で、俊也さんの5代前。3歳の孫ら家族4人で10日に函館入りし、函館日仏協会(若山直会長)会員で、NPO箱館写真の会の野戸崇治代表(68)が案内した。
保徳は1854年、日米和親条約の締結による開港に伴って設置された箱館奉行となり、61年まで在任。55年6月、当時はまだ国交のなかった仏の軍艦「シビル号」から傷病水兵の上陸を求められた際、人道的観点から幕府の判断を待たずに許可を出し、実行寺が水兵らの療養先となった。別の2隻も相次いで来港し、関係者滞在は約4カ月間に及んだ。
また、現在の元町にあった奉行所の移転を上申したのも保徳だった。仏艦関係者の滞在中、新たな技術を学んだ武田斐三郎が五稜郭を設計することにもつながる。保徳の人道的な差配は日仏交流の始まりだけではなく、歴史上も現在の函館にとっても重要な変化となった。
実行寺には故フィリップ・グロード神父がデザインし、2001年に建立した「日仏親善函館発祥記念碑前」が置かれ、シビル号の経緯が刻まれている。同協会元会長の佐渡谷安津雄さん(80)が建立経緯を説明したほか、亡くなった水兵が眠る外国人墓地も案内した。
俊也さんはかつて函館日仏協会元会長の関口昭平さん(故人)が竹内家の菩提寺を訪ねてくるまでシビル号の一件は知らなかったといい、近年は野戸代表との交流で思いを深めている。俊也さんは「(保徳が正使として欧州を歴訪した)文久遣欧使節の功績は知っていたがシビル号の話は長く知らなかった。函館の皆さんにも知ってもらいたいし、伝えていきたいと強く思っている」と話している。
俊也さんらは五稜郭も訪れて完成を見ることがなかった保徳に代わって160年の時を経て、観光客でにぎわう様子を眺めた。函館市役所では市教委の藤井寿夫教育長と懇談した。
関連記事
500機ドローン Xマス彩る 道の駅で道内最大級ショー【上士幌】
LEDを搭載したドローン500機が冬の夜空を彩る、「かみしほろクリスマスドローンショー2024」(上士幌町ドローンコンテンツ実行委員会主催)が12月21~25日、上士幌町内の道の駅かみしほろで...
焼き魚をテークアウトで 移動販売「えぞ吉」が専門店開業【帯広】
魚の移動販売が人気だった「えぞ吉」(樽美拓哉代表)は22日、帯広市西21南2に「魚の炭火焼き専門店えぞ吉」を開業する。自家製の干し魚を浦幌木炭で「じっくり丁寧に焼いた」(樽美代表)商品などをテー...
ボージョレ解禁 コクある出来 十勝ワイン新酒もきょうから【帯広】
フランスのボージョレ地区で、その年に収穫したブドウを醸造したワイン「ボージョレ・ヌーボー」の販売が、21日午前0時に解禁された。十勝管内の酒販店にも早速並んでいる。 帯広市西18南3の「ワ...
海中転落、迅速救助に 室蘭海保、2消防と潜水訓練【室蘭】
室蘭海上保安部は18日、室蘭港南防波堤付近の海域で、室蘭と登別の両市消防本部との合同潜水訓練を実施した。車両転落などを想定した要救助者の捜索と救助を通して、万が一の際の手順や連携を確認した。 ...
思い出、ドアと一緒に 洞爺湖温泉観光協会、記念撮影用に設置【洞爺湖】
洞爺湖観光を楽しんでもらおうと、洞爺湖町の洞爺湖温泉観光協会(大西英生会長)は、湖周辺に記念撮影用の開き戸「TOYA DOORS」を設置した。同協会は「フォトスポットとして、ぜひ活用して」とP...
CATEGORY記事カテゴリー
MEDIA参加新聞社
ARCHIVE月別記事リスト
RANKINGアクセスランキング
- 週間アクセス
- 月間アクセス
-
1
道東道阿寒─釧路西 12月22日開通 札幌─釧路市街地直結【釧路市】
2函館市動物愛護管理センター開所 25日から運用 殺処分減へ【函館】
3帯広畜大「ゼニ研」に前田一歩園賞 ゼニガタアザラシの個体数調査継続【札幌】
4昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
5トラウトサーモン安定的生産に期待込め 浦河港内で養殖試験 浦河町栽培漁業研究会 事業化に向け可能性探る【浦河】
-
1
高校で卒業式、1623人が門出の日【釧路管内】
2タイ国鉄車両工場長 シンハカーンさん キハ183系を見学 安平
3昔風の純喫茶復活 マリー・ギャルソン17日営業再開【釧路市】
4釧路市動物園、ライオンのユウキ死ぬ【釧路】
5旧狩勝牧場再生へCF 返礼はソフト食べ放題やツアー 北広牧場【新得】