賞状と盾を手に道南企業初のグランプリ獲得を喜ぶ藤谷さん

　函館市本町の「パティスリーメゾンフジヤ　ハコダテジャパン」で提供するチーズケーキ「ガトーフロマージュ」が、食の専門家による審査制度「第６６回ジャパン・フード・セレクション」の最高賞にあたるグランプリを獲得した。道内の生洋菓子、道南企業でのグランプリ受賞ともに初の快挙だ。

　同セレクションは日本初の食品・食材評価制度として２０１４年にスタート。日本フードアナリスト協会（東京）が毎月発表し、正会員のフードアナリスト２万３０００人が、１００のチェック項目を基に５段階の審査を実施。グランプリは得点率９０％以上の商品のみ受賞でき、道内企業では今回が３商品目となる。

　ガトーフロマージュは２０２０年６月、元町にオープンした系列のフレンチレストラン「メゾンフジヤハコダテ」で商品化された。道外、市外からの客層開拓を狙って始まったが、開店当時は新型コロナウイルス禍真っただ中で、旅行や外出も困難な状況下にあった。統括シェフの藤谷圭介さん（３９）は「菓子ならお客さんに届けられる。ケーキを食べて“メゾンフジヤ”を知ってもらおうと考えたことが誕生のきっかけ」と話す。その後、インターネットや全国百貨店の催事での販売に力を入れ、知名度を上げていった。

　最大の特徴は小麦粉を一切使わない完全グルテンフリー。原料は道産クリームチーズと純正生クリーム。攪拌（かくはん）しないことで濃厚な味わいと滑らかな口当たりを実現し、毎日一つ一つ丁寧に焼き上げる。食べる時にはフランス産天日塩「ゲランドの塩」をかけることを薦める。藤谷さんが２０年前にフランス料理の修業を始めた時から信頼を置いているといい、「塩の風味の後に余韻で塩味が感じられる。味にしっかりと輪郭が出る」と語る。

　藤谷さんが「スイーツとしてもアルコールのお供としてもお薦め」というガトーフロマージュ。審査員からは「グルテンフリーで保存料・着色料が不使用のため、安心安全」「ゲランドの塩や道産乳製品など、素材へのこだわりが感じられる」「味わいに変化が生まれ、アルコールにもよく合う」など高い評価を受けた。

　今後も新商品の開発に取り組むといい、「受賞に満足せず、より良いものをチームで力を合わせて作り続けていきたい」と意欲を見せている。