「年中無休」スナックに幕 半世紀営業「ともしび」【大樹】
大樹町内の古株のスナック「ともしび」(1条通)が、8月末で閉店した。1974年に開店、多くの常連客に愛されてきたが、店主の寺田百合子さん(68)が体調を崩し、継続を断念した。「50年は続けたかった」と話す寺田さんを、常連客は温かく見守っている。
同店は夫重信さん(82)が開業。75年の結婚当時、まだ20歳だった寺田さんが経営を請け負い、一人で店を切り盛りしてきた。店内は30人まで収容でき、音響の良さが自慢。カラオケに合わせた酔客の歌声で、毎晩にぎわった。
日曜日も営業し、基本的に「年中無休」。店はスナック、居酒屋が集中するかいわいにあり、その中でも「いつでも入れる店」として知られた。スタッフは雇わず、来店客がグラスやつまみを運ぶのを手伝った。
近所に住む大庭滋理さん(66)=大庭医院院長=は、多いときで週3日は通ったという常連。2軒、3軒とはしごし、決まって最後は「ともしび」に立ち寄った。「ママの気さくな人柄に引かれた。いつも営業しているので、酒好きには安心できる店だった」と語る。
近年は、帯広市内の病院に通い、透析治療を受けるなど健康上の不安が募り、「自分の体が第一」と閉店を決意した。閉店明けの1日には大庭さんら常連客が店舗前に集まり、休まず営業を続けた寺田さんの労をねぎらった。
寺田さんは「水商売の経験がなかったのに50年近くも続けられたのは、お客さんの励ましがあったから。親子2代、3代にわたって利用してくれた家族もいる。感謝しかない」と話している。
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