「王鰈」安定供給へ マツカワ稚魚放流 苫小牧漁協
苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)は9日、高級魚マツカワの稚魚放流を苫小牧沖で行った。同漁協などで組織する「えりも以西栽培漁業振興推進協議会」による恒例の育てる漁業。今年は3月25日に生まれた平均体長約8・3センチ、体重8・7グラムの稚魚約4万1700匹を、漁業者らが次々と大海へと放った。
同協議会は胆振太平洋海域(えりも―函館)で操業する漁業組合などで組織。一時期は資源枯渇により「幻の魚」と呼ばれたマツカワの稚魚放流に、2006年から取り組んでいる。稚魚は伊達市の北海道栽培漁業振興公社伊達事業所で育て、苫小牧漁協は「効果をより高めたい」と毎年、地元漁業者の協力で漁船を使って沖に流している。
9日は稚魚を満載した水槽10個を漁船「鮭漁丸」に積み、関係者13人でやや高めの波模様の中、苫小牧港西港・漁港区から出港。揺れで稚魚が弱らないよう慎重に運航し、苫小牧川河口付近から1キロほど沖合で放流し、稚魚たちはぴちぴちと元気よく跳ねながら大海原に飛び込んだ。2~3年でカレイの王様「王鰈(おうちょう)」のブランド名を付けられる体長35センチ以上に成長するという。
同海域のマツカワは年間漁獲量100トン超の貴重な資源に成長。同協議会は昨年9月に新たなブランド規格の運用を開始し、品質向上などにこだわっており、苫小牧漁協は「より認知度やブランド価値を高め、安定生産や供給のサイクルを確立したい」と意気込んでいる。
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