マンロー博士の遺徳を偲ぶ 旧マンロー邸の顕彰碑前 アイヌ民族の研究や医療活動【平取】
【平取】町でアイヌ民族の研究をしながら献身的な医療活動を行った医師ニール・ゴードン・マンロー氏の功績をたたえる「マンロー先生を偲ぶ会」が18日、町内二風谷の旧マンロー邸敷地内の顕彰碑前で開かれ、町内外から約50人が参加し博士の遺徳を偲んだ。町民有志でつくる運営委員会(貝澤耕一委員長)が主催し、今年で20回目。
スコットランド人の考古学者で人類学者のマンロー氏(1863年~1942年)は、日本人の起源やアイヌ文化に興味を抱き、考古学調査のかたわら多数のアイヌ工芸品や民具を収集した。
一方で当時、結核などの病気や栄養失調に苦しむアイヌの人々の窮状に胸を痛め、1932年に平取町二風谷に移り住み、無償の医療奉仕をしながら研究にいそしんだ。多くの村人から慕われた博士は「イオマンテ」に代表されるアイヌ民族の精神世界をつぶさに観察するなど研究に没頭したが、42年4月11日に二風谷で78歳の生涯を終えている。マンロー氏が世を去った後、チヨ夫人はその後二風谷を離れ、館は転売されるなどして荒れ果てた。心を痛めた英国大使館の参事官らが私費で買い上げ、66年北大に寄贈。大規模な改修を経て翌年、文学部付属北方文化研究施設二風谷分室として開所した。
偲ぶ会では、参加者が黙とうを捧げた後、顕彰碑とマンロー氏の肖像写真の前に献花した。
また、同氏の孫でドイツ在住のアイリーン・マンローさんとインターネット電話で交流した。
貝澤委員長は「亡くなってから80年になる。来年はアイリーンさんを呼びたい」、来賓の佐藤和三副町長は「10月にアイヌ文化博物館でマンロー先生の展示を行う予定。マンロー邸が5年前の地震で被害を受け、北大と協議し改修に向け進めている」とそれぞれあいさつ。アイリーンさんは「祖父が亡くなり、80年経ってもこのように続けてもらいうれしい」と話した。
なお、日本文化への関心が高まる欧州の拠点・英国のジャパン・ハウスロンドンでは11月16日から「アイヌ展」が開かれる。「二風谷のアイヌ展と言っていいほど、地域色の濃い展示になる」といい、マンロー先生にも触れるという。
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