桑野さん（右端）に教わりながら、望遠鏡にスマホをあてて月を撮影する参加者

　【網走】濤沸湖水鳥・湿地センターの天体観測会「スマホで月のクレーターをゲット！」が27、28の両日、同センターで開かれ、参加した人たちが望遠鏡で月を観測しながら、スマホでの撮影に挑戦した。

　同センターで開催中の写真展「煌星への誘い～市街地からの星々」に合わせたイベント。星空に興味を持ってもらうとともに、街灯や看板などの夜間照明が夜空を明るくし、野鳥の渡りに影響を与える「光害」を知ってもらおうと開いた。

　初日は市内や小清水などから野鳥ファンや親子など、17人が参加した。

　この日、日中は晴れていたものの、天気予報では夕方から雨となっており、参加者をやきもきさせたが、会が始まる午後６時半になっても青空のままで、頭上には半月がくっきり。参加者は、みなホッとしながら天体観測に臨んだ。

　講師は、写真展の作品を撮影した市内のアマチュア天文家、桑野真行さん。持参した望遠鏡を同センター裏の木道に設置し、月に向けて見てもらうと、参加者から「すごいすごい」「でこぼこまではっきり見える」と歓声が上がった。

　全員が観測し終えると、いざスマホでの撮影へ。スマホを望遠鏡ののぞくところに近づけ、カメラのレンズを合わせると、先ほど肉眼で観測したのと同じ月が画面に現れ、参加者も思わず興奮。盛んにシャッターを押していた。

　また、西の空には金星が明るく輝いており、桑野さんは月に続けて金星にも望遠鏡を向けて観測してもらった。

　金星も地球と太陽の位置関係で、月のように欠けていくことが知られており、この日はちょうど月と同じ半分に欠けた金星が観測できた。

　半面、望遠鏡で金星を見ても月のように大きくはならず、月と同じくスマホで写真に収めようとした参加者は、小さい金星がうまく画面に入れられず四苦八苦。それでも、写真に撮った参加者は、画面上で金星を拡大しながら「月みたいに欠けてる！」と驚いていた。

　約２時間にわたり、月や金星を観測したところで夜空に雲がかかり、この日の会はお開き。参加者は自分で撮影した月や金星の写真を何度も見返していた。

　会に先立ち、センター内で桑野さんが自宅に設けた観測所、また網走スポーツトレーニングフィールドのセンターハウスに設けられた天文台で開いている観測会を紹介した。

　併せて、この会のもうひとつの目的となっている「光害」についても説明した。

　夜の明かりが空を照らし、星が見えづらくなる「光害」を少しでも減らすため、街灯にかさをつけて明かりが空を照らさないようにするなどの取り組みを参加者に説明した。

　同センター周りの街灯、また市街地でも市北１西５の網走川たもとにある公衆トイレは、空に明かりが行かないよう工夫された照明となっていることを桑野さんが説明すると、参加者はその場所やどんな街灯になっているのかなど、熱心に質問していた。

　桑野さんの解説による「煌星観望会」は、10月まで同フィールドで毎月数回程度開いており、桑野さんは「興味のある人は、こちらもお越しください」と話している。詳しくは桑野さん（携帯０９０―８７０７―６２５８、非通知不可）に問い合わせるとよい。