震災を忘れないで 被災した犬を迎え入れ、アクリル画に ぐるーぷ彩風の仲間さん
【網走】絵画ぐるーぷ彩風の会員で、創作活動に励む仲間望さんが、東日本大震災で親と離れ離れになり保護されたのを迎え入れたという愛犬「さくら」を題材にした絵画3点を、同グループの作品展に出品。観覧者の注目を集めた。
さくらは2011年1月、福島県楢葉町に生まれたが、その2カ月後、東日本大震災が発生したことで野良犬になったという「被災犬」。同年12月、動物愛護団体のレスキュー活動最後の日に保護され、滋賀県で新たな生活を送っていたという。
そのころ、犬を飼いたいと考えていた仲間さんは当初、ペットショップでの購入も検討したものの「実際に目で見てしまうと、買ってしまう」「お金を出して動物を買うのは」と、ショップでは購入しなかった。
その後、自宅に帰って何げなくパソコンでインターネットを閲覧していたところ、動物愛護団体が保護したさくらを偶然見つけ、仲間さんは迎え入れることを決意。この団体に連絡を取った。
しかし、すんなりと受け入れることはできず、動物を飼うことが可能かどうかなど、迎え入れるにはいくつもの条件をクリアしなければならず、実際に断られた人もいたという。
幸い、仲間さんは引き受ける条件をクリア。さくらは大型犬のため、どうやって網走まで連れていくか思案していたが、同団体が飛行機などの搭乗を手配。滋賀県から北海道の網走まで、直線距離で約1200㌔という道のりを付きそう人もなく、さくらは12年5月、単身で網走に到着した。
仲間さんによると、網走に来た当初は新しい環境に慣れないのか、それとも震災の影響なのか、食事などもあまり取らなかったが、仲間さんの愛情がさくらに伝わり、すぐに食事も取るようになったという。
網走に来てから11年が過ぎたさくらは、椎間板ヘルニアを患い下半身が不自由なところもあるが、いたって元気だそうだ。
作品展には、さくらを描いたアクリル画3点を出品。さくらのプロフィールと「東日本大震災と私たちの仲間を忘れないでください」というメッセージも添えた。 さくらの絵を見た人は、みな「網走で元気に過ごすせて良かった」「良い飼い主が見つかって幸せだね」などと話していた。
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