警戒しながらパトロールする室蘭市職員ら＝１５日午前、知利別公園

　室蘭市内で１５日午後、ヒグマの目撃情報があった。市内では、１２～１３日にかけてクマの目撃が相次いでおり、室蘭市などはパトロールを強化。１５日も知利別町の知利別公園付近を重点的に巡回した。道は「ヒグマ注意報」を市内２地区に出した。

　室蘭署と室蘭市によると、１５日午後４時１０分ごろ、中島本町３の製鉄記念病院の駐車場付近から道路を横断して知利別方向のササヤブに入ったクマを車を走行中の男性が目撃した。体長約１メートル。１２日に目撃された場所とほぼ同地点で、同署はクマの行動範囲になっているとみている。

　クマは１２～１３日にかけて中島本町、知利別町、天神町、崎守町で相次いで目撃情報があった。道は１３日、蘭東と蘭北地区に「ヒグマ注意報」を発出。３段階のレベルがあり、注意報は人身被害を防止する目的。最高レベルが警報になる。

　パトロールは１５日午前、同公園を重点的に実施した。市職員や、胆振総合振興局職員、猟友会室蘭支部会員らがヒグマを撃退するスプレーなどを手に巡回。市地域生活課の中野茂樹課長は「夕方や早朝などクマの活動が活発化する時間帯は不要不急の外出は避けてほしい」と訴えている。

　知利別町楽山ヶ丘自治会の池戸武男会長（７７）は目撃された場所から距離はあるが「怖いですね。夜などあまり出歩かないよう住民に注意している」と不安そうに話した。

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　室蘭市教育委員会は同日、小中学校の登下校時について、「可能な限り保護者の送迎や徒歩の場合は複数人での登校を」などと注意を呼びかけた。また目撃現場周辺の小中学校（八丁平小、旭ヶ丘小、天神小、桜蘭中、東明中）では通学路やスクールバスのバス停付近の「巡回を強化する」とした。桜蘭、東明の両中学校では、１６日の部活動を中止にする。

専門家「刺激せず距離とって」

　室蘭市内でクマの目撃情報が相次いでいる。万一クマと遭遇したらどうするべきか－。クマの生態に詳しい札幌市円山動物園の松本直也動物専門員（３４）は「大声を出したり、走って逃げてクマを刺激しないように」と注意点を話す。

　松本専門員によると、この時季、クマは冬ごもりを終え採食活動に入っているという。警戒心が強く人目を避けるように行動するが、「昼だから安心ということはない」と指摘。また地域性にもよるが、１日に数十キロを移動することもあるという。

　知利別南公園付近で見つかった足跡が長さ約３０センチ、幅は約１５センチに「成獣の雄と思うが、そこまで大きくなく、若い可能性がある」と推測。クマと遭遇した場合には「落ち着いてパニックにならないようにし、クマと視線をそらさず、ゆっくりと距離をとることが大切」と述べた。

　道は、襲われた場合、自分の首の後ろを強く両手でくみ、両足を抱え込むように体を丸め、首を胸の方に曲げて腹部を守る防御姿勢を紹介している。