釧路市動物園で行われた羊の毛刈りイベントに多くの親子連れ

　新型コロナウイルスの感染対策が緩和される中で迎えた今年のゴールデンウイーク（ＧＷ、４月２９日～５月７日）は、釧路、根室地域でも観光客数が回復傾向にあることが分かった。入り込み数はまだコロナ禍前に戻っていないが、関係者からは「明るい兆し」という声も聞かれた。

　航空各社が９日に発表したＧＷ期間の利用実績によると、釧路─羽田便の旅客数は日本航空（ＪＡＬ）が前年比１１・９％増、全日空（ＡＮＡ）が１６・９％増、ＡＩＲＤＯ（エア・ドゥ）が１９・４％増で、ＡＮＡの中標津─羽田便は１６・８％増だった。

　釧路和商市場は名物の勝手丼目当ての観光客でにぎわい、クルーズ船が寄港した３日には外国人の姿も目立った。釧路和商協同組合の相原成三郎理事長は「和商市場全体が活気づいた」と話す。釧路市動物園はコロナ対応で人気のキャラクターショーなどができなかったため以前の２万人には及ばないが、昨年比微増のの１万４７３１人が来場した。

　阿寒湖温泉でも外国人観光客の姿が見られるようになった。ＮＰＯ法人阿寒観光協会まちづくり推進機構の高田義人専務理事は「コロナ前には戻っていないが徐々に回復している」と言う。ホテル阿寒湖荘では３～５日に予約が集中し断らざるを得なかった客もいたため、全体では前年比微増にとどまったが、古川幸男社長は、道東が富裕層の訪日客を呼び込む観光庁のモデル地区に選ばれたことを挙げ、「これに乗っていきたい」と期待を表す。

　弟子屈町川湯温泉の「お宿欣喜湯」でも３～５日に利用が集中し、その他の日は低調だった。榎本竜太郎社長は「東北海道全体にお客さまの目を向けるようプロモーションを考える必要がある」と話す。

　一方、根室管内では根室市納沙布岬の北方領土啓発施設「北方館」に９日間で６１２９人が来館し、１０連休だった昨年に比べ４・１３％（２４３人）増えた（コロナ禍前の２０１９年は１万４５２０人）。今季最多の来館者は４日の１５４４人、次いで根室・花咲港に豪華客船「にっぽん丸」が寄港し、乗客がバス５台で立ち寄った５日の１３９３人だった。

　道の駅「スワン４４ねむろ」は９９５４人で前年比１９・７％（１６４１人）増だったが、コロナ禍前の１９年と比べると４１・６％（７１８０人）の減。期間中の最多は４日の２４３８人、次いで「にっぽん丸」の一行が尾岱沼や春国岱観光後に立ち寄った５日の２２１５人。道の駅スタッフによると「３連休（３～５日）以外は通常の人出と変わらなかった」と話している。

　また、知床半島西側の斜里町ウトロで起きた観光船事故から１年がたち、客足の戻りが心配された羅臼町は、道の駅「知床・らうす」に６０５３人が訪れ、前年比約１・５倍となり、コロナの影響がなかった４年前の６割近くまで回復した。

　４月２９日に今季の営業を開始した羅臼沖のホエールウオッチングは、天候不良の６日以外は運航。知床ネイチャークルーズの長谷川喜勇さんは「コロナも明け予約は上々だったが、まだコロナ以前には戻っていない」とし、今後に期待している。

　一方、中標津町の開陽台は４０９８人と、前年比で５６５人多かった。