全て十勝産の地酒 継続へ 自然農法で酒米栽培挑戦【音更】
雑穀卸アグリシステムグループで有機農業を展開するトカプチ(更別村、伊藤英信社長)は、とかち酒文化再現プロジェクト(事務局・帯広信用金庫)による地酒「十勝晴れ」の原料米づくりを担ってきた白木祐一さんの町十勝川温泉地区にある水田を取得した。現在、自然農法で食用米づくりを進めており、一部で酒米も栽培し、十勝晴れの醸造先である帯広畜産大学内の酒蔵「碧雲蔵」を運営する上川大雪酒造(上川管内上川町)に出荷する意向だ。
十勝晴れをめぐっては昨年醸造先が碧雲蔵に変更され、栽培から醸造までオール十勝の地酒が初めて実現した。同時に、事業開始以来、酒米「彗星(すいせい)」を栽培してきた白木さんが高齢などで引退したため、「オール十勝産」の継続が課題だった。
トカプチは7年前から上富良野地区で有機食用米「ななつぼし」などを作ってきた。取得した水田は2.64ヘクタール、うち1ヘクタールで彗星を作る。ガッテン農法という独自の自然農法を行う三浦伸章氏(静岡)の指導を受け、今月中旬に播種(はしゅ)作業を開始した。
伊藤社長は、酒米の栽培と上川側への出荷の意向を認めた上で「当初、酒米を作るつもりはなかったが、人間の健康を考えつつ、手間のかからない自然農法で挑戦する。今後は自社でもこだわった日本酒を造ってみたい」とコメント。同プロジェクトには入る予定がないとする。5月24、25日に田植え体験会を計画している。
「十勝晴れ」原料に
同プロジェクトは十勝晴れの原料確保に向けた活動を続けていく考え。上川側は「トカプチから酒米が供給されれば、十勝晴れの原料として使いたい」としている。
体験会参加希望など詳細はアグリシステム(0155・62・2887)へ。
<十勝晴れ>
十勝の米と水を使った日本酒。同プロジェクトは帯信金のほか、帯広畜産大やJA木野、帯広酒販組合などで構成。2010年の事業開始から昨年まで、酒米と水を小樽の酒造会社に運び、醸造してもらっていた。
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