米国学会から表彰、室工大など共同研究論文 最先端エンジンシステム【室蘭】
深宇宙探査用、実用化へ加速
室蘭工業大学航空宇宙機システム研究センター(センター長・内海政春教授)が名古屋大、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、慶應義塾大と共同研究し、2021年7月に世界初の宇宙飛行実証に成功したデトネーションエンジン。研究結果をまとめた論文が、米国航空宇宙学会(AIAA)の「圧力増大燃焼論文賞2022」を受賞した。
デトネーションエンジンは、メタンガスと酸素ガスの燃焼時に生じる衝撃波のエネルギーを推進力に変える仕組み。従来のロケットエンジンより軽量・小型化することができる。室工大は宇宙実験を行うフライトモデル本体の最終実験を、白老実験場で実施し、快挙達成に貢献している。
宇宙飛行実証後、飛行データを解析してエンジン作動が安定していたことを確認。結果を論文として公開したところ、AIAAから高く評価された。研究チームは「深宇宙探査用キックモーター、ロケットの初段・2段エンジンなどとしての実用化に大きく近づいた」としている。
エンジンの設計は、室工大工学部助手を務めていた名大の笠原次郎教授らの研究グループが主体となって行った。室工大は14年から研究に参加しており、エンジンシステムの確立に向けて尽力している。
同大は24年度に予定されている次回の打ち上げに向けて、昨年7月と12月にも白老実験場で名大と共同で燃焼試験を実施している。内海教授は「デトネーションエンジンは宇宙輸送を革新させる技術。今後も技術開発に貢献していきたい」と抱負を語っている。
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