元衆院議員金田誠一氏死去 75歳 道南から悼む声
旧民主党などで衆院議員を5期務めた金田誠一氏が10日、函館市内の病院で亡くなった。75歳。1996年の小選挙区制導入から2009年まで鉢呂吉雄氏、金田氏、逢坂誠二氏(立憲民主党代表代行)と5連勝を果たし「民主王国」と呼ばれた道8区での野党系を象徴する一人だった。金田氏の人柄や功績をしのび、悼む声が道南の関係者からも上がった。
金田氏は1947年、木古内町出身。函館東高校卒。函館市職員、函館市議を経て1993年、中選挙区時代の旧道3区(現8区)に社会党推薦で出馬し、初当選。2、3期目は民主党の比例道ブロックで当選。2003年と05年の衆院選は8区で当選を重ねた。06年、脳梗塞で倒れ、09年の衆院解散に伴い政界を引退した。
97年の臓器移植法の審議では、脳死を人の死とする中山太郎案の対案として、脳死を人の死としない金田案を提案。金田案は否決されたが、憲政史上初めて与野党とも党議拘束のない採決を実現した。
逢坂氏は「体が不自由ながら、元気だと聞いていたので、非常に残念。金田さんと言えば、厚生労働の分野に情熱を持って取り組み、民主党の中でも際立っていた。市職員、市議、国会議員と活動のステージを変えてきたが、誰もが納得する形で進んでこられたのは金田さんだからこそ。千昌夫の北国の春を、カラオケでよく歌っていたのを思い出す」と肩を落とす。
初当選時から引退まで秘書を務めた、島昌之函館市議は「政治の師であり、弱者に光を当て、良心に基づいて行動する素晴らしい政治家だった。政治の原点を教わった」と感謝する。
最後の連合後援会長を務めた奥野秀雄さん(86)は「保守、革新という思想信条を度外視し、地元から要望があれば、真摯(しんし)に耳を傾け、課題解決にあたった姿勢が忘れられない。函館・道南には珍しいタイプの政治家だった。逝去は大変驚いており、道南の政治にとって惜しい人を亡くした」と唇をかんだ。
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