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十勝毎日新聞

和田ワイン店「感謝」の閉店 創業85年、十勝ワイン支え【池田】

 池田町内の酒店「和田ワイン店」(大通1、和田一郎代表)が閉店する。十勝ワインを創生期から販売面で支えてきた。店内にある希少ワインなどの商品を完売次第、85年の歴史に幕を下ろす。和田代表(79)は「これまで支えてきてくれたお客さんに感謝」と話している。

「今まで利用してくれたお客さんに感謝」と話す和田さん

 同店は、和田代表の祖父・三蔵さん(故人)が新潟県佐渡から入植し、1938(昭和13)年に日用品販売の「和田商店」として創業。和田代表によると、創業から20年ほど経過してから酒や食品を販売するようになった。63年に町がワイン製造に乗り出したのを機に十勝ワインを店頭に並べ始めた。和田代表は小学校の頃から店を手伝い、高校卒業から店一筋の3代目。

 店周辺は往時、国鉄(現JR)職員の住宅が立ち並び、人が行き交うにぎやかな地区だった。和田代表は「あの頃は御用聞きで国鉄の家を回り注文などを聞くのに忙しかった」と懐かしむ。ただ国鉄関係者の転出もあり、周辺にあった商店も閉店を余儀なくされた。

 それでも十勝ワインブームの波に乗り、思い切って店内の商品棚から食品を外し、十勝ワインの販売を主軸に据え、生き残った。店の売り上げがピークだった90年ごろ、店の前に観光バスやハイヤーが列を成し、十勝ワインを求める観光客らで大忙しだったという。

 和田代表は「息子2人を大学に通わせ、家を建て直せたのは十勝ワインのおかげ」と笑う。十勝ワインの生みの親で元池田町長の丸谷金保さん(故人)と親交があり、丸谷さんら家族が同店でワインを買って帰るのが習慣にもなっていた。

 現店舗は94年に建て直して完成。妻・瑳岐子さん(75)と2人で切り盛りしてきた。1階に販売スペース、地下に発売後10年以上のビンテージワイン200本を保管している。

 「町でも保管していないようなワインもたくさんある。もう飲めないワインだと思うけど」(和田代表)と言う通り、お宝品がずらりと並ぶ。

店の地下にずらりと並ぶビンテージワイン

 閉店を意識したのは昨年ごろから。元気なうちに店の整理や在庫処分をしたいとの思いが募ってきたという。新たなワインを仕入れず、店内にある商品を売り切ることにした。中でも2万円前後で販売していたビンテージワインは1本6000円で販売している。

 和田代表は高校時代からの趣味・十勝石集めを再開しようと考えている。「好きな酒をゆっくり飲みつつ、畑仕事や店の片付けをやろうかな」

 3月中は営業し、在庫の状況で閉店日を検討する。午前9時~午後5時。無休。問い合わせは同店(015・572・2454)へ。

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