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釧路新聞

釧路市新年度予算案 一般会計982億円、3年ぶり増【釧路】

新年度予算の内容について説明する蝦名市長

 釧路市は17日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初比3・3%(31億円)増の982億円で3年ぶりに増額となり、予算規模は05年の合併以降4番目の大きさとなった。23年度の予算編成は、市の最上位指針でもある「まちづくり基本構想」の推進に立ち返り、アフターコロナを見据えた経済活性化や生活環境の充実、人材の育成、災害に強いまちづくりを加速させる。

 予算を押し上げた主な要因は、25年4月に供用開始を予定している新学校給食センター整備事業(11億8438万円)といった施設建設事業の増加など。また、新たな自主財源の獲得方法として近年力を入れている「ふるさと納税推進事業費」には14億6238万円を計上し、今年度の寄付見込額18億円の約1・5倍となる27億円を目標に掲げた。

 重点施策として位置付けているアフターコロナを見据えた経済活性化には、海面養殖や陸上養殖試験に対する補助など養殖事業推進に2651万円を盛り込んだほか、釧路新産業創造研究会補助金(300万円)を創設するなど、新産業の支援、創出に着手。地域経済を支える担い手確保や多様な人材を引き込む「テレワーク等推進事業」に716万円、移住定住・UIJターン促進に向けた包括的な取り組みに2320万円を計上した。

 観光復活の鍵を握るとして、今年9月に北海道で開催される「アドベンチャー・トラベル・ワールド・サミット(ATWS)2023」に向け、専門人材の確保や質の高いコンテンツ造成に向けたDMO(観光地域づくり法人)への支援、航空会社と連携したプロモーションの実施など、アドベンチャートラベル推進事業に7203万円を計上した。

 新年度予算では「カーボンニュートラル社会の実現・循環型社会の形成」を新たな重点ポイントとして明確化。一般住宅への省エネ設備や再生可能エネルギー設備の設置を補助するための「ecoライフ促進支援事業」の予算を900万円に拡充したほか、コンブ養殖による二酸化炭素吸収効果を検証する実証実験への助成として、ブルーカーボン推進事業(300万円)を追加した。

 子育て支援では、8月診療分から新たに小中学生の通院費を無償化するとともに、子供の医療費助成にかかる所得制限の撤廃に向けて4億4349万円を計上。今年度、1月23日までに延べ4373人が利用したサービス事業「ちびっこマンデー」の遊具拡充などに1551万円を組み入れた。

 防災、減災政策には、大楽毛津波避難複合施設の整備に伴う基本設計と実施設計に1億4497万円、西消防署大楽毛支署・消防団第12分団庁舎の基本設計に3140万円、大楽毛小学校や音別中学校などの津波一時避難場所整備事業に1976万円を計上しており、津波避難困難地域の解消を目指した取り組みを進める。

 歳入は、市税が前年当初費0・8%増の209億9088万円。諸収入や使用量などを含めた自主財源の割合は32・3%となり、同0・5%の減となった。一方で市税や交付税、ふるさと納税の増加などから、22年度当初予算よりも15億円ほど多く見込んでおり、12年ぶりに減債基金からの一般会計繰り入れは見込んでいない。

 蝦名市長は「コロナ後の対応を見据え、経済活性化や人材育成、子育てに重点を置いた。市民一人ひとりが明るい未来を展望でき、次の世代へまちの未来を引き継いでいけるよう、しっかりと取り組んでいきたい」と意欲を示した。

コロナ後の活性化焦点

 【解説】新型コロナウイルス感染症が5月8日から5類感染症に位置付けられるなど、コロナ禍の終わりが見えてきた中で組まれた新年度予算。蝦名大也市長は大きく落ち込んだ地域経済の活性化と雇用創出を最重要課題に位置付けたほか、防災、減災施策として長年の懸念だった津波避難困難地域の解消に向けた具体策を打ち出した。

 最も注目すべき施策は、1億4497万円を計上した大楽毛津波避難複合施設整備事業。2023年度に基本設計と実施設計を行い、24年度着工、25年度供用開始を見込んでいる。さらに、津波避難機能を合わせ持つ西消防署大楽毛支署・第12分団庁舎の基本設計に3140万円を盛り込んでおり、同庁舎の供用は26年度と、今後4年間で津波避難困難地域の解消が大幅に前進する見込みだ。

 経済施策では、養殖事業をはじめとする新産業の創出、阿寒、音別地区における産業振興、移住定住・UIJターン促進などの人材確保、育成などに取り組む。一方、低迷する観光については、ATWSの推進に7203万円を盛り込んだものの、観光産業の復活に向けた取り組みが具体的に感じられる新たな施策は見て取れなかった。

 コロナが地域に落とした影は色濃く残るものの、アフターコロナが本格的に始まる。地場産業の衰退や人口減少など、市が抱える課題は山積しているが、コロナは言い訳にならない。持続可能なまちづくりの推進に向け、蝦名市長の手腕が問われる一年となりそうだ

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