室蘭地方気象台1世紀 地域防災力向上にも貢献【室蘭】
室蘭地方気象台(新出祥文台長)は今年で創立100年を迎えた。胆振・日高地方の天候や気象データを提供し続けているほか、地域の防災力向上に努めている。
同気象台は1923年、国内外の海の玄関口として栄えた室蘭市緑町で業務を開始した室蘭測候所が前身。札幌や函館など道内に七つある気象台の中で最も新しい。
室蘭観測所が建てられたのは、出入りする船舶の安全と漁船の遭難防止が目的。当時は船乗りに天気予報や警報を気象信号標という旗で知らせていた。
39年に観測所は道から国へ移管された。室蘭港や外洋を見渡せる現在の山手町に移転したのは52年。その5年後に気象台へ昇格する。85年、現庁舎に建て替えられた。
この100年で室蘭の気象はどう変化しただろう。まず年平均気温は0・9度上昇した。サクラの開花日は40~70年前までは「こどもの日」(5月5日)の後が普通だったが、2022年は4月25日に早まっており、平均すると10年当たりで1・3日早くなっている計算だ。
室蘭の観測1位の記録を見ると、最高気温は1929年8月に32・8度を記録した。逆に一番寒かったのは61年1月の氷点下13・4度。一日の降水量では75年11月の170ミリ、降雪量は84年4月の47センチが最多となっている。
最大瞬間風速は、台風による洞爺丸事故があった54年9月に55・0メートルを観測。道内では最高記録になるが、国内全体で見るとベスト20にも入っていない。
室蘭の気候は「暖まりづらく冷めにくい海に囲まれていることから、気温が上がりにくい半面、下がりにくい」(同気象台)特徴があるという。そのため「比較的温暖な気候に恵まれ、気象条件で見るととても住みやすい」と説明する。
同気象台は「あなたの町の予報官」を掲げて、地域に密着した防災支援業務にも力を入れている。
2018年には道内初の震度7を観測した胆振東部地震が発生した。安平町役場に気象等防災対応支援チーム「JETT」を派遣し、最新の気象情報を解説している。また、日ごろから自治体や防災機関と連携し、啓発活動などを通じて地域防災力の向上にも努めている。同気象台では、1世紀の歩みをまとめホームページで公開する予定だ。
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