シカ対策 苫小牧市街地近くに捕獲わな 年度内50頭目標
苫小牧市は街中でエゾシカの出没が相次いでいることを受け、今月1日から市街地近くでの捕獲事業を始めた。苫小牧は道内でもエゾシカが絡む交通事故が突出して多く、市への通報や苦情も絶たない。市から事業を受託した日高町の認定鳥獣捕獲等事業者が毎日、わなを掛けた現場を巡回しており、9日までに計35頭の捕獲に成功。今年度内に50頭の捕獲を目指す。
捕獲場所は、市内中心部の商店や住宅などが立ち並ぶエリアから少し離れた立ち入り制限のかかった山林。くくりわなは計50カ所に設置し、仕掛けを踏んだエゾシカの足首をワイヤで捉え、動けなくする。
認定鳥獣捕獲等事業者の株式会社K(佐々木憲社長)は牧草ロールを餌にエゾシカをおびき寄せ通り道などを見極めた上、わなの設置場所を選定。仕掛けたわなは毎日、同社のハンター2人が朝~夕にチェックしている。
捕獲数は1日平均3~4頭で、これまでの最多は9頭。捕獲した個体は有効活用の一環で、ペットフード用に処理しているという。
ハンターの一人は「最初の頃は日中でもシカが多くいたが、わな設置から3日ほどでほとんど姿を見掛けなくなった」と説明。エゾシカの強い警戒心を考慮し、わなを雪やシカのふんで隠したり、設置場所を小まめに変えたりと試行錯誤している。
道警によると、2022年に市内で起きたエゾシカ絡みの交通事故は前年比63件増の366件で、道内市町村で最多。22年度、市に寄せられたシカに関連した通報、苦情は1月末時点で254件に上る。
佐々木社長は「市内の企業からも捕獲依頼を受けている。雪が少ないので、シカが餌を求め、集まりやすい地域なのでは」と語る。
市は23年度予算案にも、22年度の294万円をベースに予算計上し、市街地周辺での捕獲事業を継続する方針。環境生活課の高坂聡副主幹は「捕獲数は目標の50頭を上回りそうで、手応えを感じている。事業をしっかり検証し、効果的な対策につなげたい」としている。
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